第609回:GoogleUGC新制度から見える「今Googleが欲しいもの」とは?

中小企業を強くするWebマーケティングPodcast — ラウンドナップWebコンサルティング 中山陽平

第609回:GoogleUGC新制度から見える「今Googleが欲しいもの」とは?

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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

早速今回のテーマですが、「検索数の多い話題を追ってコンテンツを作る」というトラディショナルなSEOにおける戦術。コンテンツSEOのためのキーワード調査。それは意義のあるものではありますが、今も時代、それだけでは、お客さんが本当に知りたいことに応えきれなくなっていると感じます。

お客さんが何に困っていて、自分たちはどんな経験や知見を提供できるのか。そこをきちんと発信する重要性が、これからますます高まるのではないか、そしてGoogleが新しく始めたUGCの制度がそれを裏付けていると感じました。

「お客さんの声に応えましょう」という話自体は、私もよくします。ただ、そう言われても何をすればいいのか分からない、費用対効果を社内で説明しにくい、という難しさがありますよね。

というわけで、今回は、

Googleの新しい取り組みを手がかりに、中小企業が顧客理解と情報発信をどう進めるか

を考えていきます。ぜひ最後までお聞きください。

新しく始まったGoogleのUGC Fresh Data Programとは? それは、Googleが新しい投稿と反応を効率よく受け取る仕組み

UGC Fresh Data Programとは?

Googleは2026年10月8日、UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)の最新データを扱う「UGC Fresh Data Program」を検索セントラルで案内しました。

掲示板やSNS(Social Networking Service)など、大量のユーザー投稿を扱うプラットフォームから、投稿とその反応を専用の経路で受け取る仕組みです。

参照:Google検索セントラル「ドキュメントの更新」/「UGC最新データプログラム」

ちなみに、一般的な企業サイトが「うちにも投稿が少しあるから使おう」と、すぐに利用できるものではありません。

対象は一定の規模と要件を満たすUGCプラットフォームで、申請と審査があります。通常のクロールやIndexing API(Application Programming Interface)とは別の経路であり、一般企業向けの新しい登録手段が増えた、という話ではない点は注意です。とりあえず登録しておくか!というものではないです。

参照:Google検索セントラル「UGC最新データプログラム」対象と要件

精度に関係がなかったとしても押さえたいGoogleの意図

私が注目したのは、新しい投稿を送る速さと、投稿直後の反応の変化を送ることをGoogleが条件としている点です。それふくめ、主な要件を整理すると、次のようになります。

項目 Googleが示す内容
投稿の鮮度 作成から、理想的には数分以内にコンテンツを送信する。
反応の更新 投稿作成後72時間以内のエンゲージメントのカウンターを定期的に更新する。
データの形式と品質 指定された構造化データを付け、Googlebotがアクセスできるようにする。モデレーションや違反報告の仕組みも求められる。
審査と掲載 申請への回答は6〜8週間が目安。参加しても検索結果への表示は保証されない。

参照:Google検索セントラル「UGC最新データプログラム」データの鮮度・技術要件・申請

投稿の内容だけでなく、初動の反応も継続して知らせてほしい、ということです。

ちなみに「いいねや返信が多ければ検索で有利になる」とは書かれていません。あくまで、データをスムーズにやり取りするための仕組みとして案内されています。

参照:Google検索セントラル「UGC最新データプログラム」

プラットフォームを運営していない企業でも注目すべき理由

では、なぜこの話を取り上げるのか。Podcastを聴いている方の多くは、大規模な掲示板やSNSを運営しているわけではないと思います。私が考えたいのは、Googleがわざわざ投稿直後の情報と短期的な反応を受け取る仕組みを作った理由です。

今話題になっていることをGoogleは把握したい

一つは、今話題になっていることや、これから話題になりそうなことを、できるだけ早く把握したいのではないかということ。

今、人が知りたいことに対して、情報の入り口を早く用意する。Googleには、そういうニーズがあるのだろうと私は見ています。

人間の反応についてよりデータを集めたい

もう一つは、私の憶測ですが、人間が何に反応し、そのあと何を知りたくなるのかを、もっと詳しく理解したいのではないかということです。新しい情報を増やすだけなら、継続的に投稿データを集めればよさそうです。それに加えて、投稿から72時間以内の反応を求めている点が気になります。

もちろん、この要件だけでGoogleの内部の狙いまで断定はできません。ただ、こうした動きから、企業がこれから力を入れるべきことも見えてくるのではないでしょうか。私が重要だと考えるのは、目の前のお客さんがどう考え、次に何を知りたがるのかを理解することです。

どの業界でも、最初の疑問が解消されたあとに出てくる質問には、ある程度の共通点がありますよね。その流れを知り、内容やページのつながりを作っていく。顧客理解を深めることは、Googleが進もうとしている方向とも合うのではないかと思います。

情報の鮮度と当事者の経験は、以前から重視されてきた

ちなみに今回、Googleが突然こうした方向へ進み始めたわけでもありません。情報の新しさ、いわゆるフレッシュネスについては、2011年の公式記事でも説明されています。その時点で、話題によっては1週間や1か月前ではなく、数分前の情報が求められるとされていました。

参照:Google公式ブログ「Giving you fresher, more recent search results」

Redditとの関係も以前からあります。Googleは2024年、RedditのデータAPIを通じて、リアルタイムの構造化されたコンテンツを取得する提携の拡大を発表しています。ユーザーの投稿を、より新しい状態で把握する取り組みはすでに続いていたわけです。

参照:Google「An expanded partnership with Reddit」

AI(Artificial Intelligence:人工知能)検索のクエリファンアウトも、関連する複数の検索を行って回答を組み立てる仕組みです。私はこの動きを、人間が一つの情報から、関連するいくつものことを考える流れに対応しようとしているのではないか、と捉えています。

参照:Google検索セントラル「AI機能とウェブサイト」クエリファンアウトの説明

E-E-A-T(Experience、Expertise、Authoritativeness、Trustworthiness:経験・専門性・権威性・信頼性)でも、実体験や深い知識が重視されています。その人が実際に経験したからこそ分かることには、まとめ記事だけでは伝わらない情報があります。

参照:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」

2025年のGoogle公式ブログでも、利用者がフォーラム、動画、音声配信、個人の投稿などを通じて、一次情報や当事者の視点を探していると説明されています。詳細なレビューや独自の考察などを持つサイトには、トラフィックが増える傾向がある、というGoogleの説明です。利用者が当事者の経験を求めている、という見方は以前から示されていました。

参照:Google Japan Blog「検索におけるAI:クエリ数が増加しクリックの質が向上」

こうした流れを合わせると、私には「今知りたいこと」「次に考えること」「当事者にしか語れないこと」への関心が深まっているように見えます。Googleが内部でどう利用するかまでは分かりませんが、企業の情報発信を考えるうえでも押さえておきたい動きです。

Point1:今の話題に、自社の専門知識で応えられる体制を作る

中小企業が何をするかは、事業と使える人手によって変わります。余力があるなら、今話題になっているテーマのうち、自社に関係するものへ情報を出す体制を考えたいですね。話題を見つけ、記事や投稿を作り、社内で確認して公開する。そこまで進められるか、という話です。

例えば、豪雨や水害の話題です。被害を受けている方は本当に大変だと思います。住宅、不動産、保険の仕事なら、専門家として役立つ情報を出せる場面があります。

  • 土地を選ぶとき、どのような点を見るのか。
  • 住まいの設備を普段からどう点検し、何を用意しておくのか。
  • 保険ではどのような備えや補償を確認できるのか。

AI検索の話題も、技術系の会社だけが触れられるものではありません。住宅の仕事なら、住まいについてAIに相談するときに、どんな前提や写真、確認事項を伝えるとよいのかを説明できます。同じ話題でも、自社の仕事ならではの切り口があるんですね。

今回の72時間という短さを見ると、情報を拾ってもらうまでの時間も考えて、例えば半分の36時間ほどで発信できる体制があれば、と私は考えました。

※これは私の運用上のイメージで、Googleが企業の投稿に設けた期限ではありません。早く出すことにはリスクもあるので、一概に全社でやりましょうとは言えませんが、可能なら検討したいところです。

Point2:商談や接客で分かる「次に知りたいこと」をデータとして貯める

もう一つ、長い目で進めたいのが顧客理解です。目の前のお客さんの反応や、話の流れ、次に知りたいことを、自社のデータとして貯めていく。それを情報の出し方に生かしていくことが大切だと思います。

こうした知見は営業や担当者の頭の中には結構あるんですよね。でも、データになっていないので、Webサイトへ生かそうとすると、またみんなに聞いて回る必要があります。「暇なときに集めましょう」では、1年たっても終わらないか、企画自体が止まってしまう。だから、中期的な仕事として進めたいんです。

お客さんが次に知りたがることが分かれば、関連するページへ内部リンクを付けることにも使えます。チャットボットで答えるための知見にもなるでしょう。担当者一人の頭の中にあるものを、みんなで共有して育てられる状態にすることが大事です。

Googleフォームに、日々の気づきを入れるところからでいい

データを貯めると言うと重く聞こえるかもしれません。私としては、Googleフォームに日々の出来事を入れていくくらいでいいと思っています。スプレッドシートと連携させ、いくつか選んだら、あとは自由に書いてもらう。面倒だと、全然進まないですからね。

専用システムへ入って、たくさんの選択肢にチェックして、ようやく記録できるような仕組みだと重くなります。自由記入欄も今ならAIを使って整理や分析をしやすくなりました。何を書いてほしいかのひな型を用意して、簡単に残せるようにするのがよいと思います。

例えば、1日10件が365日集まれば3,650件です。実際には営業日数によって変わりますが、毎日の小さな記録でも、続ければまとまった数の顧客の声になる。それだけ集まれば、何か気づけることがあるはずだ、というのが私の感覚です。

商談や接客の中では、問い合わせに至るまでに、何を調べ、何を見て決めたのかを自然に聞けるといいですね。

  • 問い合わせる前に、どんなことを調べましたか。
  • 最初はどの情報から入りましたか。
  • 最後に、何を確認して決めましたか。

これからは「AIに聞いたら、この会社だと答えたので電話しました」という方も増えてくると思います。それでも、最後に行動するのは人間で、そこには何かしらの判断があるはずです。何をもとに判断したのかを詳しく聞くことには意味があります。

顧客理解は、自社の生命線なので外に任せてはダメ

他社で集めたデータをもとに商談率を改善する、といったサービスの話を聞くこともあります。ただ、客層や地域が少し変わるだけで、お客さんが考えることは変わります。やっぱり、自分たちのお客さんの情報は自分たちで貯めた方がいいと思うんです。

どれだけ費用を削っても、売上が上がらなければどうしようもありません。営業やマーケティングに関わる大事な部分だからこそ、自分たちで顧客を理解し、その情報を使う手綱を握っておきたいですね。

ただし、顧客理解は短期的な成果を期待して進めるものではありません。単独の企画にすると、周りから「それ、本当に意味があるの?」と言われがちです。現場の進め方としては、ほかの仕事と組み合わせながら、中期的に続けるのがよいのではないでしょうか。

まとめ:検索数だけでなく、お客さんの言葉と経験を発信に生かす

  • UGC Fresh Data Programは大規模なプラットフォーム向けの仕組みです。企業として注目したいのは、Googleが新しい投稿と初動の反応を求めていることです。
  • そこから私は、Googleが人が今知りたいことや、次に考えることへの理解を深めようとしているのではないかと見ています。
  • 自社に関係する話題へ専門知識で応える体制と、日々の商談・接客で得た顧客の声を蓄積する仕組みを、使える人手に合わせて考えたいところです。
  • すぐに効果が出ると考えず、自社のお客さんをより詳しく知り、その経験をコンテンツにすることを、中期的に進めていきましょう。

引用元・参考情報

FAQ

UGC Fresh Data Programは、一般企業もすぐに利用できますか。
一定の規模と要件を満たすUGCプラットフォームを対象とする仕組みで、申請と審査があります。一般的な企業サイトがすぐに利用できる新しい登録手段、というものではありません。
GoogleのUGC新制度で、どのような点に注目していますか。
投稿から数分以内の情報と、作成後72時間以内の反応の更新を求めている点です。私は、Googleが今知りたいことや、人が次に何を知りたくなるのかへの理解を深めようとしているのではないかと見ています。
企業も72時間以内に情報を発信する必要がありますか。
72時間は、参加プラットフォームが投稿後の反応を更新する要件です。一般企業の投稿期限ではありません。早く発信できる体制は検討したいものの、事業や使える人手、発信のリスクによって判断が変わります。
顧客の声は、どのような方法で貯めればよいですか。
Googleフォームなど、簡単に記録できる方法からでよいと思います。商談や接客で聞いた疑問、問い合わせ前に調べたこと、最後に何を見て決めたかを残し、社内で共有して情報発信に生かしていきます。
顧客理解を深めれば、すぐに集客へつながりますか。
短期的な成果を期待して進めるものではありません。単独の企画では意義を説明しにくくなることもあるので、ほかの仕事と組み合わせながら、中期的に顧客の声を貯めていくことを勧めています。

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