第121回:競合同士の動きを追い、お客様が何を選ぶのかを学ぶ

中小企業を強くするWebマーケティングPodcast — ラウンドナップWebコンサルティング 中山陽平

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

競合調査というと、自社と競合を比べて、どちらが強いか、相手が何をしているから自分たちも何をしようか、と考えることが多いと思います。もちろん、それも大事です。ただ、競合同士がどう競争し、お客様がどちらを選んでいくかを見ることも、とても役に立ちます。

私がそのことを強く感じたのは、Amazonビジネスが日本で始まったときです。アスクルなど、既に日本の会社に使われているサービスに、Amazonが入ってくる。この動きを、自分たちの商売を考える材料として見ていました。

競合同士の動きから、お客様の価値観を見る

当時、備品の調達先としてどこを選べるようになるのか、という目でこのニュースを見た方も多かったと思います。私が興味を持ったのは、世界規模で商売をしているAmazonが、日本の独特な商習慣の中に入ってきたら、どうなるのかということでした。

利用するのは、中小企業や小規模事業者も含めた方々です。自分たちのお客様ともなるような層が、どういう価値観で、どういう行動を取るのか。それを見る機会になると感じたんですね。

自社を必ず比較の中に入れなくても、競合同士の競争から、お客様が何を大事にしているかを学べます。大手同士がどのように動き、どちらが選ばれていくのか。その観察もしてみていただきたいと思います。

単にどちらの売上が伸びたかを見るだけでなく、どういう戦い方をして、その結果どうなったのかを見る。そこから、自分たちが選んでもらうための要素を考えられるんです。

便利な機能と、今までのやり方の安心を見比べる

日本でサービスが始まった当時、私が比較していたのは、新しい機能の便利さと、既存のやり方の安定でした。

アスクルについては、オフィスで必要なものを幅広く扱い、カタログを見ながら注文できることに注目していました。インターネット通販に詳しくない方でも注文しやすい。日本の環境に合わせて育ってきたサービスなんですね。

それに対してAmazonは、当時、法人向けの請求書払いや複数人での利用、承認ルール、分析・レポートなどを打ち出していました。機能だけ見ると、便利だなと思うわけです。

でも、それで既存のサービスを置き換えられるかは、まだ分からないと考えていました。業務ルールを変えるのは大変ですし、社内で反発があるかもしれません。そもそも、変えるだけの理由が見つからないこともあります。

便利さが増えても、お客様が今までのやり方を変えるとは限らないんですね。ずっと問題なく取引できていた相手への安心感もありますし、価格だけで決まるわけでもありません。

このときに私が見たかったのは、カタログのようなアナログなものや、慣れた業務の流れがどのくらい強いのか。それとも、品ぞろえやオンラインでの注文、分析などの便利さが選ばれるのか、ということでした。

新しい機能と、既存の安心。どちらがいいと早々に決めるより、その後の動きを見て、お客様が何に価値を感じているかを考えたかったんです。

他社が試していることを、自分たちの事業へ当てはめる

自分たちでこの規模のテストマーケティングをしようと思ったら、相当大変です。お金も時間もかかりますし、Amazonとアスクルのような大きな規模では、なかなか試せません。

そこで、ビジネスの中で実際に行われている競争を横目で見て、「こういうやり方で選ばれたんだな」「このやり方は、今はまだ受け入れられないんだな」と、判断の材料を仕入れていくわけです。

他社が費用をかけて試していることを観察し、その動きから学んだことを、自分たちの事業に当てはめて考えてみてください。これは、非常に賢いやり方だと思います。

自分たちと競合の強みを比べるだけでは、見えにくいものもあります。相手同士が競争しているところを見れば、提供する側が何を変え、それを利用する側がどう受け止めたかという過程にも目が向きます。

この例に限らず、いろいろな業界でそうした動きは起きています。自分たちが商品やサービスを選んでもらうには、どういう要素が必要なのかを考えるときの材料になると思います。

完成した成功事例だけでなく、進行中の出来事を追う

私は、きれいに紹介された成功事例だけでなく、今まさに競争しているものを見た方がいいと思っています。なぜかというと、生だからですね。

成功事例には、どこかお化粧されている面があります。都合の悪いところが出ていないこともありますし、編集の段階で省かれた部分もあります。結果は分かっても、そこへ至るプロセスはよく分からない、ということがあるんです。

今行われている出来事を追いかけると、結果だけに整理される前の動きに触れられます。そこから何を自分たちに応用できるか、という考え方を持っていただきたいと思います。

「こことここが、面白いことをやっているな」と思ったら、関連する記事をストックしていく。そういうテーマを持ち寄って、勉強会の形にしても面白いのではないでしょうか。

競合分析をするときは、自社と競合だけでなく、競合同士にも目を向けてみてください。向こうで起きていることを見ながら、自分たちの商売を考える材料にさせてもらう、ということです。

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