第311回:口コミは宣伝の武器より、期待と実際の体験を近づける場所

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

「口コミって大事ですよね。どう活用していけばいいですか」と聞かれることがあります。その「活用」という言い方が、少し気になるんですね。自分たちの良さを宣伝する武器にしようとすると、評価を良くする方向へ考えが寄りやすいからです。

今回は、自社サイトへ載せる長文のお客様の声というより、星や短いコメントがつくレビューの話です。私は、その場所を、お客様が想像するものと実際のサービスのギャップを小さくするための場所だと考えていただきたいと思っています。

高い評価を集めるだけで終わらせない

星が高く、お礼の言葉が並んでいれば、それを見た方が安心して問い合わせたり、来店したりすることはあるでしょう。押し売りについての不満が並んでいるより、良い印象になるのは確かです。

ただ、そこだけ見ていると、良い口コミをたくさん知ってもらうことが目的になってしまいます。私は、それ以上に、読んだときの期待と、実際に買ったりサービスを受けたりしたときの違いを減らすことが大切だと思います。

口コミを通して作られる期待が、実際の商売の姿と合っているかを見てください。期待して行ったのに、実際はがっかりだった。これは避けたいですよね。

お客様も、ネットの情報をそのまま信じるとは限りません。写真や文章を良く見せられることを、自分でも体験している方がいます。そうすると、良いレビューを見ても、本当なのかなという気持ちがどこかに残ります。

疑いながらも、悪いより良い方がいいだろうと選んでくださる。その期待を、実際の体験が裏切ってしまわないようにしたいんです。

口コミの集め方も、体験の一部になる

例えば、サービスは悪くなかった。でも最後に、「今ここでレビューを書いてくれたら、これをあげます」と言われたとします。その場で低い評価をつけるのは、なかなか難しいですよね。

そこでお客様が感じるのは、「今までの高い評価も、こうやって集まっていたのかもしれない」ということです。本当は、ほかの方が十分満足して書いたものだったとしても、その一つの体験で、全体が作られたものに見えてしまうことがあります。

評価を良くしようとした行動そのものが、それまでの口コミへの信頼を崩すこともあります。次も利用しようと思っていた方が、そこで離れてしまうかもしれません。

口コミを武器として使おうとすると、どうしても良い方へ持っていきたくなるんですね。「声を集めたい」「生の声を聞きたい」と考える方は、もう少しフラットに捉えていると感じます。

もちろん、口コミが集まらなくてよいという話ではありません。声をいただける機会は、仕事の流れの中に作っておく。そのとき、都合のよい評価を出してもらうことへ、目的がすり替わらないようにしてください。

悪い評価だけでなく、良すぎる評価にも目を向ける

誤解によって、本来のサービスの姿が伝わっていないこともあります。実際にはそうではないのに、違う受け取られ方をしてしまった。そういう場合は、事情を説明したり、そう感じられた点について、どう改善したいかを伝えたりすることが必要でしょう。

その返信を見るのは、書いてくださった方だけではありません。これから利用する人も、本当はどんなお店なのかを知る材料にします。

評価が高くても、その期待に応えられない内容なら、補足しておいた方がいいと思います。良く書いていただけること自体は、うれしいですよね。ただ、少し良い方に解釈されている部分もあるかもしれません。

「これを期待して皆さんが来られたら、ちょっと困るな」というものを、そのままにしないことです。お礼をお伝えした上で、その点は実際にはこうですと補足する。期待を上げ続けるより、実態との差を少なくしたいんですね。

想像したものより、少し良かったと感じてもらえるとうれしいでしょう。同じなら想像どおりですが、大きく期待を下回れば不満になります。良い評価にも悪い評価にも、その観点で接していただきたいと思います。

ネットを見ないお客様の声も、集めて返す

特に地域で商売をしている会社は、紙のアンケートも大事にしてほしいと思います。ネットのレビューを見ない方もいますよね。そういうお客様がいるなら、サービスを受けた後などに、紙で声を書いていただく機会もあっていいんです。

スーパーに貼ってあるお客様の声のように、良いものも悪いものも受け止め、誤解があれば説明する。書いていただいた声へ、担当者からコメントを返すというやり方も、まだ十分役に立つと思います。

どこへ載せるかだけでなく、実際のお客様から声を受け取り、返せる形を考えてください。ネットも紙も、両方を使う方がよい場合はあります。

また、複数の店舗があるからといって、同じ口コミを全部の店舗へ貼ってもらおうとするのは、私はおすすめしません。近い店舗を見比べた方が、同じ文章を何度も見れば、不自然に感じるでしょう。実際にサービスを受けた店舗への声として扱う方が自然です。

良い評判がつくと、社内でも自分たちは求められていると浮き足立ってしまうことがあります。でも、口コミはあくまで一つの声です。高く見せるためではなく、期待と実際の体験を近づけるために、落ち着いて受け止めていただければと思います。

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