第310回:実店舗がECを始める前に知っておきたい、発送・管理・問い合わせの負担

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

実店舗に加えてネットショップも始めたい。販路を増やしたり、リスクを分けたりするために、ECを考えている方もいらっしゃると思います。

そのとき、どんなツールを使うか、何を売るかを考える前に、私がおすすめしていることがあります。できるだけ近い業種で、すでに通販をやっている方に、実際の話を聞いてみることです。

今回は、開店までの操作ではなく、始めてから「こんなに大変だったのか」とならないために、先に知っておきたいことをお伝えします。

近い業種の経験者に、大変だったことを聞いてみる

ECを始めようとすると、成功事例や便利な仕組みに目が向くと思います。ただ、始める前に想像していなかったことに次々とぶつかり、続けるのが難しくなる場合もあります。

だからこそ、すでに経験している方から、何が大変だったかを聞いておいてほしいんですね。できれば、自分たちが扱うつもりの商品に近いものを、通販で売っている方です。

身近にいなければ、商工会や知り合いに紹介をお願いする方法もあります。表に出ているきれいな成功談だけでなく、つまずいたことや、続ける中で直してきたことを聞けるとよいと思います。

先に経験した人が困ったことを知れば、同じところでつまずくのを減らせます。 これから始める側にとっては、大きな助けになるはずです。

セミナーも情報を得る場ですが、開催する会社が何を伝えようとしているかは、意識して聞きたいところです。できればそれに加えて、実際に運営している方の、率直な話を聞いてみてください。

店頭で売る仕事に、発送と管理が加わることを見込む

特に、これまで手渡しで商品を売っていたお店では、発送や注文管理の仕事が、どれくらい増えるかを想像しにくいと思います。

八百屋さんやケーキ屋さんのように、店頭でお客さんへ渡して完了していた商売なら、その先に荷物を届ける工程が加わるわけです。

いつ、誰に、何を送るのか。発送先をどう管理するか。きちんと送れたかを、どう確かめるか。在庫や商品、問い合わせの管理も必要になります。

ネットショップの画面を作ることとは別に、注文を受けて商品を届ける仕事を組み立てる必要があります。

問い合わせが来たとき、誰が対応するかも決めておきたいですね。電話への対応が必要なら、ちゃんと出られる体制を作る必要があります。受注した後の仕事まで含めて、自社で回せるかを考えてください。

買う側の感覚で、送料や発送の手間を見積もらない

荷物を受け取る側にいると、送料をあまり意識しないこともあります。でも、送る側になってみると、思った以上に費用がかかると感じるかもしれません。

この価格で売ればよいだろうと考えていたのに、一つ送るのにこれだけかかるのか。発送だけでなく、管理や決済の準備にも、こんな手間があるのか。始めてから知ることが重なると、大変です。

商品の値付けを考えるときには、実際に届けるまでの費用と手間も見込んでください。 商品を売った金額だけを見ていては、続けられるかを判断できません。

経験者に聞くときも、この部分をぜひ聞いてみてください。発送や在庫管理で何に困り、どう解決したのかは、開店方法を調べるだけでは見えにくいところです。

届いた後の問い合わせも、お店の仕事として考える

送り先や内容物を間違えた場合だけでなく、配送後には、いろいろな連絡が来ます。箱がつぶれていた、濡れていた、といったこともあります。

売る側としては、「その日は大雨だったから」「配送の途中で起きたことだから」と思うかもしれません。ただ、お客さんからの連絡を受けるのは、お店なんですね。

もう少し丈夫な箱を使うか。扱い方を伝える表示を工夫するか。そうしたことを考えると、また費用や作業も変わってきます。

発送したら終わりと考えず、届き方や問い合わせを見て、改善する仕事もあると知っておいてください。 運営している方は、そういう問題に一つずつ向き合ってきています。

話を聞いて、「それなら、うちはこういう形で対応できそうだ」とイメージできれば、その後の準備も具体的になります。

運営の見通しを持ってから、商品や仕組みを詰める

大変なことが分かり、自社なりに対応できそうだと考えられたら、どの商品をどう売るか、誰に需要がありそうか、競合はどこかを検討していきます。

そこで、単品で売るのか、定期的に届けるのか、どんな決済方法が必要かが見えてくれば、必要な仕組みも変わります。

先に使うツールを決めるより、売り方と運営の条件を考えてから、合うものを選ぶ方が話を進めやすいんですね。

細かい運用や仕組みは、ECに詳しい方と一緒に作っていくのがよいと思います。どの会社にもこのツールを使えばよい、という話ではありません。

実店舗のお客さんへ、通販をどう知らせるかも考える

自分たちでネットショップを立ち上げるなら、お客さんにその存在を知ってもらう必要もあります。

ただ、実店舗がある場合、最初からインターネットで大々的に集客することだけを考えなくてもよいかもしれません。

地域のお客さんに買ってもらいたいなら、今のお客さんへ「通販もできるようになりました」と知らせる。地域のタウン紙やチラシで案内する。そういう進め方が合うこともあります。

誰に買ってもらいたいかに合わせて、実店舗でのつながりも通販へ生かす。 新しくネットで売るからといって、お客さんとの接点まで全部作り直す必要があるとは限りません。

まとめ:ECを始める前に、運営の実態を聞いておく

実店舗に加えてECを始めるなら、まず近い業種の経験者に、発送や管理、問い合わせ対応で大変だったことを聞いてみてください。画面を作る以外にも、続けるための仕事があります。

実際の負担を知り、自社で対応できる見通しを持ってから、商品や売り方、ツールを詰める。 新しい販路のために本業まで疲弊してしまわないよう、最初の準備を大切にしてほしいと思います。

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