第350回:使われない解析レポートを、誰の判断を助けるかから見直す

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

あれだけ調べ、根拠もそろえてレポートを作ったのに、社内で使ってもらえない。書籍にある注意点も押さえたつもりなのに、思ったような反応が返ってこない。分析を担当していると、そういう悩みを持つことがあると思います。

今回は、指標や設定の確認だけでは解決しない、現場でのすれ違いについてお話しします。頑張り方を増やす前に、誰の何に役立つものを作っているのか、出発点から見直していただきたいんですね。

同じ方向に頑張る前に、目的のずれを疑う

レポートを見てもらえないと、周りがWebを理解していないから仕方ない、もっと詳しく分析すれば分かってもらえると考えたくなります。

ただ、そのまま半年、一年と続けても、作る側には評価されない不満がたまり、受け取る側には、これをもらって何になるのかという気持ちが残ることがあります。

使われないレポートを詳しくする前に、相手が必要としているものと合っているかを確かめてください。量や丁寧さの問題ではなく、進んでいる方向が違う場合があります。

業種、社内の文化、人の数、経営者の考え方や人柄など、現場にはいろいろな条件があります。書籍に載っていた方法をそのまま持ち込んでも、同じ反応が得られるとは限りません。

本やセミナーが役に立たないということではありません。設定の仕方を調べるような使い方もあります。ただ、自分たちの目的がまだ見えていない段階で、型ごと受け取ってしまわないほうがよいと思います。

解析できる範囲を、仕事の全体にしない

アクセス解析をしようとなると、最初にツールを見て、ここで何が分かるかと考えがちです。でも、事業の中には、解析ツールで分かることも、分からないこともあります。

数字で確かめられること、そのままでは分からないけれど経験などから推測できること、分からないこと。その違いを考えず、何でも解析の中で答えようとすると、無理なレポートになってしまいます。

事業で知りたいことを先に捉え、そのうち解析で分かる部分を扱うという順番です。ツールの中にある項目だけを、仕事の範囲にしないでください。

例えば、広告アカウントのデータを全部PDFへ出して、今回の成果ですと渡されたら、受け取る側は、これでどうすればよいのかと思いますよね。出す側は、取れるデータを出したから報告は済んだと考えているかもしれません。でも、その間に溝があるんです。

何かないかなと項目を順番に眺めるより、知りたいことがあって、見る場所が決まっている。その状態を目指していただきたいと思います。

誰の、どんな判断を助けるかをすり合わせる

解析をやってみてと言われたら、最初に確認したいのは、依頼した人が何を欲しがっているかです。誰に報告するかだけではなく、誰の何を支援するかを考えます。

意思決定を助けたいのか、選択肢を知りたいのか、優先順位をつけたいのか。いろいろあります。依頼する側も、デジタルなら何か分かるだろうと思っていて、はっきりしていない場合があります。

どんな情報があれば役立ち、それによって何を判断したり変えたりできるのかを、一緒に考えてください。そこが曖昧なまま、ツールの勉強だけを始めないでほしいんですね。

どんな情報なら毎月見ますか、何を評価できたら行動を変えられますかと、具体的にすり合わせます。その上で、アクセス解析ではここまで分かる、別のツールを組み合わせればこの部分も見られると考え、最終的にどんなものを出すかを合わせていきます。

慣れてくれば、この相談は短くなるでしょう。でも、何度か出せばお互い分かるはずと放っておくと、分からないと思われたまま、次から見てもらえなくなることがあります。

反応がなければ、作る側から聞きにいく

月次の報告をしても、みんな何となく聞いているだけで、質問が返ってこない。そういうときには、こちらから聞いてみてください。

何も言われなかったから全部大丈夫だった、と受け取らないほうがよいと思います。良い提案でも、気になる提案でも、何かしら反応はあるはずだと、私は考えています。

反応がないときは、相手の理解不足と決めず、自分たちから内容や使い道を確認し直します。責任がすべて作る側にあるという話ではありませんが、相手が変わるのを待つより、自分が変えられるところを動かしたほうがよいんですね。

「取れるデータは出しています」と「それを見せられても困ります」のままでは、分析する人と使う人が離れていきます。目的が合っていれば、足りない情報や次に見るべきところも、一緒に話せるようになると思います。

最初は二人で作り、互いに説明してみる

もう一つ、特に専門家の支援が入っていない会社では、できるだけ二人以上で取り組むことをお勧めします。担当者を任命する立場の方にも、考えていただきたいところです。

初めのうちは、項目の意味を取り違える、計算を間違える、割合と件数を比べてしまうといったことが起きます。計算が合っていても、この比較からその結論を出してよいのかという、論理の間違いもあります。

レポートを作って互いに説明し、気になったところを質問し合うだけでも、一人では気づかないことが出てきます。二人なら間違わないわけではありませんが、そのまま長く続けてしまう可能性を減らせます。

二人分の担当者を置けないなら、最初は上司も一緒に学ぶ時間を取っていただきたいと思います。社外にレビューしてくれる専門家がいるなら、その力を借りる方法もあります。

私も研修で二人一組の発表を行うことがありますが、見ているところは人によって違います。それを繰り返すと、自分はここで間違えやすい、ここは論理が抜けていないかと、自分を見る視点もできてきます。

解析で分かることを増やすには、自分で考え、動かし、データを解釈する経験も必要です。そこでできた考え方を本や他の人の意見と比べ、納得できるものを取り入れていく。誰の判断を助けるのかを忘れずに、経験を積んでいただければと思います。

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