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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、すごくベタな内容なんですけれども、いわゆる「強み」についてです。それを支える資産も含めて、AI時代にどう捉え、自分たちでどう育てていくかをお伝えしたいと思います。
うちは戦略や作戦を一緒に考える立場になることが多いので、この辺りのディスカッションもよくします。年々、悩みは尽きないなと感じますね。もともとWebの世界は真似されやすいところへ、AIも入ってきました。その中で、どうすれば選ばれる存在になり、選ばれ続けられるのでしょうか。
Webでは、見える強みを維持し続けることが難しい
あちらはこういう売り出し方をしている、こういう広告を出している、キャンペーンを始めた。Webでは、そうした情報がすぐに手に入ります。そもそも、お客さんへ届かなければ意味がありませんから、競合も皆さんの情報にアクセスできるわけです。
ホームページやSEOなど、Web上で強みを作って維持し続けるのは、AIが入る前から難しいことでした。地域で商売をしている方は、地元での商売に比べてWeb上での競争は難しい、と感じることも多いと思います。
比較される相手が、商圏内の会社とは限りません。優れた会社が一社あれば、そこを基準に見られてしまう。地元ではナンバーワンなのに、Webではあまり印象を与えられないこともあります。後発の会社や、マーケティングが上手な仲介業者が入ってきて、厄介になることもありますよね。
お客さんに見える情報は競合にも見えるので、Webで打ち出したものだけを強みにし続けるのは難しいんです。
そこへAIが入ってきました。いずれ、業界ごとの成功パターンを集め、外部の知識を組み込んだサービスが出てきてもおかしくないと思っています。すでにあるのかもしれませんけれども、「こういうときにはどうすればいいか」に、かなりの精度で答えてくれるようになるのではないでしょうか。
ディープリサーチのように、普通のチャットより時間をかけて、いろいろな情報からレポートを作るツールの内容を見ていると、どういう道筋があるかは誰でも簡単に手に入れられる時代になるだろうな、と感じます。
傘立てや返信のような、小さなプラスに目を向ける
では、その中でどう選ばれるか。基本的には、細かいプラスを積み上げて、それをできるだけ効率よく、再現できる形で会社の知識にしていく方向で考えていただくといいと思います。あまり突っ込むと個別のコンサルティングの内容になるので、少し大まかなお話になりますが。
中小企業や小規模事業者の成功事例を見ると、意外と、なぜ成功したのかよく分からないものが多いんですね。「タイミングが良かった」とさらっと書かれていても、うちが同じことをやったらうまくいかなそうだな、と感じることがあると思います。
実際に触れていると、派手ではない細かいことが、紆余曲折を経ながら積み上がって、大きな結果になっているケースが多いと感じます。ものすごく大きな強みを持っている会社は、そう多くありません。
それでもお客さんが離れず、問い合わせから契約につながっていくのは、細かいプラス要因が積み重なっているからです。それを誰か一人だけができるのではなく、全員ができるようにマニュアルにしている。行動指針にもなっていて、会社として気持ちのいい対応ができている。自分たちでも意識していないような部分で選ばれているな、と感じることがよくあります。
事務所や教室を訪ねて、いい雰囲気だな、お子さんが生き生きしているなと思うことがあります。それが、上にいる誰かの優れた設計で全部できているかというと、細かいところへ行き届いているケースの方が、私は多いと感じます。
一つずつ「何をやっているんですか」と解きほぐすと、本当にシンプルなんです。お客さんが来るところなら、傘立てをきれいにする。こういう連絡があったら、決めた時間内に必ず返事をする。お手紙を送る。
一昔前の話に見えるような小さな対応が積み重なって、一つ上の段階へ育っていることがあるんですね。
一度行ったぐらいでは、なぜ周りより高いのにお客さんが離れないのか、分からないこともあります。でも、そうした積み重ねの結果、その地域で安定して商売ができているわけです。
「積み重ねられる力」を、会社の強みとして育てる
簡単に模倣される時代に、他社に負けないものをどう作るか。私は、「努力できる才能」の法人版のようなものを作ることだと考えています。
何をするとお客さんが喜ぶのかをつかんで、きちんと積み上げていく。特定の業務がうまくできるだけでなく、そのとき求められているもの、お客さんにとってプラスになるものを把握して、会社の中で言葉にし、みんなが使えるようにしていく力です。
最初は特定の人がやっていることでもいいんです。他の人もそれを真似できるようになればいい。そういう、努力を続けていくための力を持つことが大事だと思います。
これから人の好みは、良くも悪くも変わっていくと考えています。基本的な欲求が満たされてくると、「おっ、珍しい」と感じる新しいものを求めるようになる。その中で安定して商売をするなら、変化についていく、あるいは自分たちが先に作り出していく、会社全体の機動力が必要になります。
一致団結と言うと古い感じがするかもしれませんけれども、小さなプラスを積み上げて、会社の中に増やしていると、そうした動きもうまく回るんですね。少し、ひと言では言いにくいところですが。
これからの強みは、大きな何かを持っていることより、積み重ねて蓄積できる力として考えていただくといいと思います。
長く付き合ってくれるお客さんから、うまくいっている点を集める
とはいっても、何を蓄積すればいいのか。まずは、自分たちの商売で起きていることを見てください。
「今うまくいっている理由は何だと思いますか」と聞くと、なかなか答えが出てきません。仕事をしているかどうかや、能力の差ではないんです。普通は、そこまで考えないんですね。目の前の仕事が楽しかったら、それに集中します。きっかけがあれば考え始めるけれども、自分たちがうまくいっている理由を普段から考えている方は、ごく一部です。
だから、他へ行ってもおかしくないのに、目の前のお客さんが長く付き合ってくれるのはなぜだろう。あの人とこのお客さんは、すごく相性がいいな。この人は、ああいう方面でうまくいっているな。そういう細かいポイントを、まずたくさん集めていただきたいと思います。
最初から立派な強みを探そうとせず、今うまくいっている小さなことを集めてみてください。
一人で集めても、ペアを組んでもいいです。「こういうときには、こうするといいんだな」という小さなもので構いません。集まってくると、自分たちの商売は、この辺りがこうつながっているとうまくいくんだな、と見えてきます。
最初から仕組みになっているかどうかは、あまり気にしなくていいと思います。プラスになっていることを集めるうちに、こういう組み合わせで他社へ移らず付き合ってもらえているんだな、と分かってくるんですね。
それが偶然だったとしても構いません。意図してやったことだけを集める必要はないんです。偶然なら、次に似たようなことが起きるような行動を取っていけばいい。そうやって細かいことを積み上げながら、強みを見いだしていただくといいと思います。
外から見えにくい積み重ねは、真似されにくい
この考え方のもう一ついいところは、真似されにくいことです。
こういう建物を作って、こういうマーケティングの仕組みを作ればいい、というものは、意外とコピーされやすい。でも、自分たちですら把握しきれていなくて、努力して一つずつつなげなければ分からないものは、他社から見ると、本当に分からないんです。
外から見ただけでは分からない小さなプラスの組み合わせが、選ばれる理由になっていれば、簡単には真似されません。
そういう細かい要素は、ネット上に情報がなければAIにも拾いにくいものです。それを軸に商売を作っていけると、外からはよく分からないけれど、うまく商売を続けている会社になっていく。これから安定してやっていくには、そういう会社であることが必要ではないかと思います。
もちろん、AIの調査で道筋が出てきても、本当に実行する人は少ないだろう、という前提もあります。セミナーで聞いたことを会社へ戻って実行する人は少ない、と言われるのと同じですね。
それはそれとして、小さなプラスを積み上げ、会社のものにしていく仕組みを作る。そうすると、分かりやすい強みはないけれど、会社は選ばれているという状態になっていきます。
自社のやり方に名前を付けて、育てていく
一つお勧めのやり方を挙げるなら、自分たちのやり方に名前を付けることです。うちなら「ラウンドナップ式」とか。ちょうどいい名前は考えるとして、何か名前を付けて、そこへ結び付けながら形を与えていくんです。
最初は「ラウンドナップ式」と言っても、ふわっとしているだけかもしれません。でも、お客さんに喜ばれている小さなことを、そこへくっつけて整理していくと、だんだん見えてきます。
名前を付けて、小さなプラスをそこへ集めていくと、自分たちのやり方としてまとまりやすくなります。
私は、このやり方は結構いいなと思っています。お客さんに伝わる形へ変えれば、自分たちのサービスの軸として見せることもできます。後から入った人への教育や、会社になじんでもらうときにも便利です。そんなところから企業文化を作ってもいいのではないでしょうか。
「強みを作りましょう」「強みは何ですか」という質問はありがちですが、実際の現場で、私はあまり聞きません。聞いても出てこないからです。その場で明確に答えが出てくるのは一部ですし、出てきても、そのまま使えるとは限りません。お客さんのメリットに置き換えて、伝わり方を変える必要があるものも多いんですね。
自分たちの良いところを見つけたい、作りたい、強くしたいという方は、大きなものを探さないようにしてみてください。小さなもの、今まで見えていなかったものを形にして、名前を付け、自分たちの中で育てていくところから始めていただくといいと思います。
今は何も見えなくても、小さく一つから始める
ここまで読んで、「うちにはそんなものはない」と思う方もいるかもしれません。
うちの支援を卒業して、今はうまくいっているお客さんもいらっしゃいます。今の姿だけを見ると、すごく上手に商売をしている会社だなと思うでしょう。でも、最初を覚えている私からすると、「初めは何もなかったですよ」というケースもあるんです。
今は見えなくても、小さなことを一つ見つけて始めるところからでいいんです。
最初は皆さん、なんとなく、まだ見えないところから始まっています。そういう積み重ねをやれる会社が生き残る、と考えていただくといいのではないでしょうか。「努力できる才能」ですね。成功の鍵は、案外、誰も大事にしてこなかった当たり前のところにあるかもしれません。
AI時代は商売をしづらいと感じる方もいると思います。時間はかかるようになったのかもしれません。ただ、私は、この二十年ぐらいのWebにショートカットが多すぎた、とも感じています。
真面目に、きちんと地固めをしながら商売を育てるところへ戻ってきた。そう考えると、それはそれで、まっとうな社会なのではないかなと思っています。
関連コンテンツ
小さなプラスを探すときには、お客さんが選んだ過程と、競合の中での自社の位置も合わせて考えてみてください。
第197回:既存のお客さんに、比較・選択の過程を聞くでは、選ばれた理由をお客さんから確かめる方法を扱っています。
第202回:強みを先に決めつけず、競合や市場の中で考えるでは、今の強みを相対的に捉え、これから育てていく考え方をお伝えしています。
顧客理解を事業の目標やWeb施策へつなげる全体像は、Webマーケティングの基本もご覧ください。
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