第263回:Webサイト制作の一括見積もり、安さだけで選んでよい?作業範囲まで比べる考え方

Webサイト制作の見積もりを比べたら、同じような内容なのに金額が大きく違う。安い会社に頼めば、その差額だけ得をする。そう考えたくなりますが、制作を依頼するときは少し注意が必要です。

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。私は、制作会社を価格だけで選ぶために一括見積もりを使うことは、お客様にお勧めしていません。発注した後に人が考え、作り上げるサービスでは、見積書に並んでいる項目が似ていても、受け取る内容が同じとは限らないからです。

同じものの値引きなのか、まず確かめる

例えば、同じ型番の新品の家電を買うなら、販売店によって価格が違っても、商品そのものは同じです。配送や保証などの条件もそろっていれば、安い店を選ぶ理由は分かりやすいですよね。

Webサイト制作では、発注する時点で完成品がそこにあるわけではありません。どういう戦略で、どんな文章やデザインにするか。必要な機能をどう実現するか。契約してから人が考え、作っていく部分があります。

制作費が安くなったときは、同じものを安く買えるのか、作る内容や進め方が変わるのかを確かめてください。ページ数や機能の名前だけが同じでも、それだけで中身まで同じとは判断できません。

仕様や作業範囲が十分に固まっている案件と、何を作るべきかから相談する案件でも、比べ方は変わります。後者ほど、金額だけでは見えない部分が大きくなります。

安くなる理由を、作業の中身まで聞く

説明のために、100万円の提案に対して、別の会社から50万円の提案が出たとします。これは相場の話ではなく、比較の仕方を考えるための例です。

依頼する側は、100万円で想像していた内容が、そのまま50万円になると受け取りがちです。でも、受ける側は受注した金額の中で、必要な作業を組み立てなければいけません。

例えば、写真の用意や撮影はどうするのか。公開後、自社で更新しやすい作りになるのか。将来の変更をどこまで考えておくのか。目的を聞いたうえで追加の提案までしてもらえるのか。こうした点には、人がかける時間や仕事の仕方が表れます。

「なぜ安くできるのか」を、含まれる作業と含まれない作業に分けて聞くことが大切です。金額の大小だけで品質を決めつけることはできませんが、違いを確認せずに同じ内容だと思うのも危険です。

見た目は完成していても、自分たちでは触れない、後で直すために費用がかかる、といったことはあります。納品時だけでなく、使い続けるところまで含めて比べたいですね。

仲介を挟む場合は、費用と支援の範囲を見る

一括見積もりやマッチングのサービスを通す場合は、その仕組みによって制作会社側の費用も変わります。仲介の費用がかかる形なら、制作会社はそれも見込んで仕事を受けることになります。

だからといって、一定の手数料がそのまま品質の低下になる、と計算できるものではありません。サービスごとに費用の仕組みも支援内容も違います。ここで気にしていただきたいのは、「依頼する側は無料だから、制作の内容には関係がない」と見過ごさないことです。

仲介によって何を支援してもらえるのかと、実際に誰がどこまで制作を担うのかを、あわせて確認してください。候補を紹介してもらうことと、自社に必要な内容を判断してもらうことは、同じではありません。

会社を選ぶ手間が減ったとしても、どんなものを作ってほしいのか、何を大切にしたいのかは、依頼する側から伝える必要があります。

予算が限られるなら、必要な範囲を直接相談する

予算が50万円なら、それを正直に伝えて、「この範囲で何ができますか」と相談する方が話は進めやすくなります。予算が少ないこと自体より、全部をそのままにして金額だけ下げようとすることが、無理を生むんですね。

皆さんご自身の商売でも、何を実現したいかを相談してくれるお客様と、ひたすら安くしてほしいとだけ言うお客様では、提案のしやすさが違うのではないでしょうか。

予算と目的を共有して、何を優先し、どこまでを今回の仕事にするかを一緒に決めることをお勧めします。相手も事業として仕事をしています。無理な値引きより、限られた条件の中で力を発揮してもらえる依頼の仕方を考えたいところです。

提案を作ることにも時間がかかります。何社にも同じ定型文を送る前に、相談したい理由がある会社へ絞る。そのうえで、比較しているなら、そのことも伝えて話を進める方がよいと思います。

必要になる前から、相談先の候補を集めておく

「そうは言っても、どこに頼めばいいか分からない」というお話もあると思います。だからこそ、急に必要になってから探すのではなく、先に情報を集めておいていただきたいんです。

自社で今後必要になりそうなことを考えながら、気になる会社を見ておく。信頼できる方に、どこへ相談したかを聞いてみる。地域が違って競合しない同業者と、依頼先について情報交換できることもあります。

制作会社選びは、見積もりが必要になる前から、相談できそうな相手を知っておくと進めやすくなります。広告でよく見ることだけを判断材料にせず、どんな仕事をしていて、自社の相談にどう向き合ってくれそうかを見てください。

安く発注できたかだけではなく、必要な仕事をきちんとしてもらえたか。その目線で候補を絞り、直接話をしながら選んでいただければと思います。

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