第262回:Web担当者の知識を社内で共有するには?勉強会を通じてノウハウを残す

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

Web担当者がいろいろ勉強して、会社のホームページも動くようになってきた。ところが、その人が辞めることになった途端、何をどう進めていたのか分からなくなってしまう。こういうことは、できれば避けたいですよね。

では、担当者に「ノウハウをまとめておいて」と頼めばよいのでしょうか。まとめる作業ばかりに時間がかかって、肝心のWebの仕事が進まなくなっても困ります。

そこで私がお勧めしたいのは、社内の誰かに、分かるように説明する機会を作ることです。知識を共有するだけでなく、担当者自身の頭の中を整理することにもつながります。

「任せた」で終わらせず、知識を受け取る場を作る

「Webのことはあなたに任せた。私たちはほかの仕事をするから、自由にやっていいよ」。信頼して任せているように聞こえますが、それだけでは知識が一人の中にたまっていきます。

担当者がいなくなった後に、やっていたことを誰も引き継げない。更新が止まり、必要な仕事にも手が付けられない。そうならないためには、担当者が伝える努力をするだけでなく、会社側にも受け取る姿勢が必要です。

資料を作る仕事だけを増やすのではなく、「誰に、何を分かってもらうための時間なのか」まで決めてあげてください。説明を聞く人がいると、担当者も何をどこまで伝えればよいのか考えやすくなります。

相手が少し手伝えばできるところまで、説明してみる

私自身、企業研修の資料を大きく作り直したときに、改めてこれを実感しました。普段とは企業の規模や参加する方が違い、経営陣の方々にも伝わるように、話す内容や順番を考え直したんですね。

過去の事例を見返したり、必要な情報を調べ直したりして資料を作っていくと、自分の頭の中もすっきりしてきました。普段の仕事では個別に取り出して使っていた知識が、「これがあるから、次にこう考えるんだな」とつながっていったんです。

知識を共有するときも、「これをやったら、こんな結果が出ました」と伝えるだけでは、相手が同じようにできるとは限りません。自分では当たり前に済ませていた準備や、判断の前提になる知識が抜けていることがあるからです。

「その説明を聞いた人が、少し助けてもらえば同じことをできるだろうか」。そこを目安にしてみてください。すると、先に説明しておくべきことが見えてきます。

  • 何を知っている人に向けて話すのか。
  • 作業に入る前に、何を準備していたのか。
  • いくつか方法がある中で、なぜその方法を選んだのか。
  • 同じことをしてもうまくいかないとしたら、どこが違うのか。

こうやって相手の立場で順番を考えると、自分の中では意識していなかった知識も引き出されます。その順番が分かれば、後で資料に残すときにも役立ちます。

勉強会では、社内の仕事に役立つことを取り上げる

具体的には、社内で勉強会を開く形が取り組みやすいと思います。例えば週に一度、あるいは隔週で一時間ほど。頻度や長さは仕事の状況に合わせながら、その間に学んだことや試したことを、関係する人へ説明する時間を設けます。

大事なのは、発表すること自体をゴールにしないことです。聞く人に何を理解してもらいたいのか、仕事でどう使ってもらいたいのかを先に考えてください。

そのつもりで準備すると、「ここを聞かれたら、まだ説明できないな」というところも出てきます。うまくいったのは確かだけれど、理由までは分かっていなかった。そんな部分に気付けるのも、誰かに説明するよさです。

分からないところは、追加で調べたり、実際に試したりして補っていく。分かっていることと、まだ確かめられていないことを分けて話せるようになると、共有する内容も使いやすくなります。

また、次に人へ話す機会があると、情報の集め方も変わります。「これはうちの会社で役に立つかな」「みんなに伝える価値があるかな」と考えるようになるんですね。目に入る情報を何でも集めるのではなく、自社の仕事と結び付けて学びやすくなります。

集まるのが難しければ、社内向けに文章で伝える

とはいえ、すぐに勉強会を開ける会社ばかりではないと思います。周りの時間を取れない場合には、社内だけで見られる場所に、説明する文章を残す方法もあります。

その場合も、単なる自分用の作業メモではなく、読む相手を思い浮かべて書いてみてください。何をしたかに加えて、なぜそうしたのか、先に何を知っておく必要があるのかを説明します。

すぐに反応がなくても、説明するために考えることは、自分の知識の整理になります。後から別の人が読むときにも、作業の意図をたどる手掛かりになります。

もちろん、書いたまま誰も見ない状態でよいわけではありません。上司や周りの方も目を通して、分からないところを聞いてください。担当者に発信だけを任せず、会社の中で使える知識にしていくことが大切です。

発表は記録して、自分でも見返してみる

勉強会を開くなら、発表の記録も残しておくことをお勧めします。後から内容を確認できるのはもちろんですが、自分の説明を振り返るためにも役立ちます。

話している最中は、次に何を話すか考えながら進めているので、説明の曖昧さに気付きにくいんです。私も話しながら、頭の中では次のつなぎ方を考えています。

録画を見返すと、「ここはうまく説明できずに先へ進んでいるな」「ここは自分でも整理しきれていないな」と分かることがあります。表情や声の調子も含めて、自分だから気付ける部分があるんですね。

自分の声を聞くのは、最初は少し抵抗があるかもしれません。それでも、発表が終わってすっきりしたところで終わらせず、一度見返してみてください。次に補うべき知識や、説明し直した方がよいところを見つけられます。

まとめ:誰かに伝える機会を、普段の仕事の中に入れる

Web担当者の知識を社内に残すには、担当者に「まとめておいて」と頼むだけでなく、誰かに説明し、受け取ってもらう機会を作ることが大切です。

相手が理解して使えるように考えると、自分が省略していた前提や、まだ分かっていないことも見えてきます。それが担当者自身の学びにもなり、会社の知識を増やすことにもつながります。

まずは、最近取り組んだことを社内の誰かに説明するところから始めてみてください。勉強会でも、社内向けの文章でも構いません。伝えて、分かりにくかったところを直す。その機会を普段の仕事の中に入れていきましょう。

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