第264回:大企業向けのマーケティング情報を、自社が今やることと混同しない

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

マーケティングの新しい概念が出てくると、「うちは実際、何をすべきなのでしょうか」というご質問をいただきます。何だかすごそうな考え方が降ってきたとき、中小企業はどう受け止めればいいのか。今回は、その話をしたいと思います。

私は、大手向けの情報を見てピンとこなければ、無理に追いかけなくてもいいと思っています。もちろん、ピンときたなら、なぜ自分がそこに反応したのかを考えて、取り込めるところを取り込んでいけばいいんです。

その情報は、どんな規模の企業を想定しているか

新しいマーケティングの概念には、「これからこういうふうになっていきますよ」という、大きな方向性を示すものがあります。具体的な姿が示されていても、その通りに試行錯誤できるかどうかは、また別の話です。

偉いとか偉くないとか、取り組む資格があるとかいうことではありません。実際に実験していけるだけの企業規模や、前提になるものを持っているかどうかですね。大きな企業の事例を見て、では明日から自分たちも同じようにやろう、と考えても、なかなか進みません。

大企業向けの話を、そのまま自社が今やるべきこととして受け取らなくていいんです。大きな方向性に自分たちを当てはめようとしても、具体的に何をするかが出てこないことがあります。

データを使って最適化するという話でも、どんなデータを持ち、何をできることが前提なのかがあります。「データが大事らしい。では、うちのアクセス解析の数字を見てやっていこう」と受け取る前に、その話が想定している企業と、自社とでは条件が違うのではないかと考えてほしいんですね。

まだデジタルを十分に活用できていないなら、まずそれを使えるようになることを、引き続きやっていった方がいいと思います。新しい概念が出たからといって、それまで取り組んでいたことを飛ばしてしまう必要はありません。

デジタルを使う理由を、お客様の側から考える

そもそも、なぜデジタルを活用しなければならないのでしょうか。「そういう時代だから」と考えてしまうと、そこで思考が止まってしまいます。私がお伝えしたいのは、お客様がデジタルの世界で情報を集め、判断しているからだということです。

何かを探すときに、スマートフォンから始める。情報を見て、良さそうかどうかを考えて、次の行動を決める。そういうお客様に対して、デジタルの世界で自分たちの存在が見えていなければ、お客様が生きている世界の中に、自分たちがいないことになってしまいます。

新しい技術の名前より、お客様が情報を集める場所に自社が存在できているかを確かめてください。これは、ホームページを作るか、使うかという話をしていたときから、根っこは同じです。

Webを活用しようとすると、どう集客するかに目が行きます。ホームページに来てもらえれば、その後は人が対応して何とかなる。だから、集客さえ何とかなればという考え方になりやすいのですが、その前の段階が抜けていることがあります。

比較で勝つ前に、選択肢へ入れているかを見る

「お客様が探したとき、自社も選択肢の一つに入っていて、その中で他社とどう比べてもらうか」。そんな状態を前提に考えているかもしれません。でも、悩みを解決してくれる会社を探している段階で、そもそも自社が候補に並んでいないケースがあるんです。

偶然自社を知った方から、「こんなにいい会社があるなんて知りませんでした」「こんなサービスがあるとは思いませんでした」と言われることはないでしょうか。そう言われると、うれしいですよね。つい、いい気分になってしまいます。

ただ、マーケティングの観点では、喜んでいるだけではいけません。それだけ喜んでいただける価値があるのに、その良さを伝えられていなかったということです。お客様にも、自分たちを選んでいただく機会がなかったんですね。

集客や競合との比較に入る前に、まず存在を知ってもらうことが必要です。似たようなサービスが多い中で、お客様が全部を吟味してくれるとは限りません。

比較されてからの強みをいくら考えても、そこに並んでいなければ始まらない。私は、露出や認知の段階から考えていただきたいと思っています。

お客様の生活の中に、どう入っていくか

普段の生活の中で、自然に触れる場所に自社が現れているか。ある問題に対して、「この会社なら、何か解決してくれそうだな」と覚えておいていただけるかどうかです。丸めた言い方をすれば、お客様の生活の中に、自分たちを溶け込ませる努力ですね。

新しいことを始めよう、何かやろうと思ったときは、どうやって自分たちの存在を知っていただけるか、というところから考えてみてください。そこがうまくいかないなら、違う切り口に変えた方がいいかもしれません。似た情報で飽和しているのかもしれないし、印象の強い競合がいるのかもしれません。

自分たちのお客様の世界へ入る方法を考えると、商売を進める最初の一歩が見えてきます。その先に、集客や競合との比較が待っています。まず、その土俵へ上がることです。

大手向けの情報を見て、何かすごいことをしなければと焦るより、自社が今できていないところへ戻ってみる。デジタルを使えていないなら使えるようにする。良いサービスなのに知られていないなら、知っていただくところを考える。

その上で、新しい情報の中にピンとくるものがあれば、なぜ気になったのかを考えて取り入れる。そのくらいの受け止め方で、進めていただいていいのではないかと思います。

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