目次
- 今回のトピックス
・Apple、全製品をリサイクル材生産
・SDGsやESG、ミッションやビジョンの力はどれくらいあるのか?
・競争の軸が飽和してきた中で「次はこれ」的に出されていることが多い
・ミッションやビジョンは内部向けと考えたほうが良い
・商品の付加価値とする、位の使い方が丁度いい - 最新:Podcast /WEBセミナー 第277回
- あとがき
今週のトピックス
こんにちは、ラウンドナップ中山です。日に日にメールや問い合わせフォームからの営業が増えてきて、本当にギリギリの所も多いのだと実感する日々です。
さて、Apple関連の話題です。AppleというとAppleCarの話題が大きいですが、後ろでこんなニュースも出ています。
Apple、全製品をリサイクル材生産 株主総会で構想表明: 日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN235I60T20C21A2000000/
「米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は23日、オンラインで開いた年次株主総会で将来的にすべての製品をリサイクル材だけを使って生産する構想を示した。素材の採掘や精錬などに伴う温暖化ガスの排出を抑えるとともに、発展途上国の鉱山における児童労働問題にも対処する狙いとみられる。」
環境に配慮した活動が求められる昨今、こういった行動が企業にとってウェイトを増しています。SDGsやESGなどの言葉は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
それに伴ってよく言われるのが「ミッションが大事」ということです。
その企業が社会に対してどんな事を成し遂げようとしているのか、など大きな企業目標のものですね。
ただこれ、正直過大評価されていると思います。今回はそんな話です。
SDGsやESG、ミッションやビジョンの力はどれくらいあるのか?
仕事柄、いろいろな提案書のセカンドオピニオンを出すことも多いのですが、提案書の中にミッションやビジョンなどの内容が組み込まれていることが増えています。
もちろん、これはとても大事なことです。足並み揃えて、何かを達成するために力を集結させていった方が力が出るのは当然です。内紛も戸惑いも無いほうが良いですよね。
ただこれを、マーケティングなりセールスのプロセスにおいて「選んでもらうための理由」として推すのは、少なくとも日本では時期尚早です。
よくこんな文章を見ます
- SDGsなど環境問題に取り組んでいることを示すことで、競争で優位に立てます
- ミッションやビジョンを明確にすることで、共感してサービスを選んでもらえるようになります
ただ、効果は限定的か、あるいは無いに等しいと思ったほうが良いです。
もちろん、私はSDGsなどを否定するわけではありません。少なくとも企業分類で大企業に属する企業や、今後あるいは今グローバル展開を考えている企業なら、絶対に押さえておくべきポイントです。
ただ、そうではない企業規模、中小企業なおさらですが、においては、
「セールスやマーケティングの文脈で使っても、直接的なプラスは期待できない」
と考えることをオススメします。
誤解されそうなので、補足しますが、大事なことなんですよ。ESGにしてもSDGsにしても。
取り組めるなら絶対取り組んだほうが良いんです。
ただ、それをセールスやマーケティングに使ったら良いことがあると考えるのは、時期尚早ということです。
無競争の軸が飽和してきた中で「次はこれ」的に出されていることが多い
実際そうやって、環境対応などをうたって、その結果として反響は特に上がらないというケースは多いです。
でも、そういう提案をしてくるところは多いようで、提案書には結構増えていますね。
なぜか?それは、競争の中で提示する判断基準について、新規参入組が勝てるようなものが、もう殆どないからです。
たいがいの判断基準はすでにそれについてのNO1がいるんですよ。
なので、提案する側は、苦肉の策で環境の話やミッション・ビジョンなどで勝つという提案を持ってくるのです。
でも実際には響きません。
世代の問題でもないんです。日経の以下の記事を見ていただくとわかりやすいです。有料会員の方はぜひ。
共感を呼ぶ「パーパス」の作り方 課題解決でブランド発信: 日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69326300S1A220C2H46A00/
ただ、無料で読める範囲の以下の一文が、ほぼ全てを表しています。
「若い世代ほど身近な社会問題への関心が高い一方、共感できるブランドがある人は1割にとどまることが分かった。」
北米やヨーロッパではZ世代以下は特に、環境に配慮していない企業の製品を使うことに抵抗があるなどの話が独り歩きしていますが、まだまだ一部の話です。
国内においては、20代であっても、ブランドのミッションやビジョンに共感するのは1割り程度なのです。B2B商材ならもっと低いでしょうね。ちなみに50代になるとその半分、5%くらいですね。
なので「期待してはいけない」「そういう提案は流したほうが良い」です。
□ミッションやビジョンは内部向けと考えたほうが良い
では意味がないかというと、意味はあります。それは内部向けです。というかそもそも経営理念などは内部向けのものとして広まっていますよね。
先程の日経MJの調査では「自分の会社の経営理念を知っている」は80%ですが
- 内容を理解しているのは6割
- 良い印象があるのは4割弱
- 共感しているのは3割以下
です。
全体の3割しか共感してくれていないんですね…。
なのでこれをしっかりまとめていくことが重要です。少人数でも方向性が定まっている企業は、特に変化の早い今の時代は強いです。
採用のときも評価基準にしても、この基準で判断していく。合わない場合は、色々考えてもらう。
なかなか採用も厳しい時代ではありますが、少しづつでも足並みをそろえていかなければなりません。
そういう文脈で捉えてみてください。SDGsについても、まずは会社の理念としてぶち上げるものです。
売るために無理やり持ち上げるものではないです。
商品の付加価値とする、位の使い方が丁度いい
なので、競争自体は、今まで通りのマーケティングやセールスのフィールドで知恵を絞っていく方向をオススメします。
もう今の売り方じゃ限界がある!じゃあ今話題に上がっている環境の話や社会問題をうまく組み込もう!という形はオススメしません。付け焼き刃で響かないか、最悪裏の意図が透けてむしろ嫌われてしまいます。
ECサイトでとりあえず商品タイトルの頭に【令和2年最新版】とつけるような気持ちでは、売れませんし、環境問題に取り組んでいる人にも失礼ではないかなと思うところです。
日経の記事も「売るため」的な文脈なので、私としては現場の意見として、それはどうなのかなと思います。
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どんどんと進んでいる、人間の「縁(えん)」からの離脱。
そして新型コロナにより、
今回は、その点について取り扱っています。
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ほか「中山陽平 podcast」などで検索ください。
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終わりに
次のメルマガのネタにしようかとも思いますが、内閣官房の成長戦略会議が出したこのデータは興味深いですね…。
コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/seichosenryakukaigi/dai7/siryou1.pdf
まず政策についてのデータ的な検証が行われていることと、そしてやはりP9ですね。
いろいろお国柄などの事情はあるかと思いますが、米国の在宅勤務の生産性は、どんどん上がって、在宅のほうが効率的あるいは同じという割合が85%になっています。
ほとんどが在宅のほうが効率良い、言い換えると在宅で効率よく作業できる仕組みやマインドづくりが進んでいるということですね。
対して日本はというと、P12にあります通り、在宅くん無のほうが生産性が低いと答えた割合が、使用者側も労働者側も85%前後と、米国と真逆なのです。
いろいろな理由があることはP13にありますし、そう単純なことではないことはわかりますが、とはいえまたコロナのようなものが来たら?定期的に発生するようになったら?どちらにかじを切るべきか。働く方も働いてもらう方も。
思い切って考えなくてはならない時期にある、と感じるところです。
それでは、またメールしますね。