第516回: Webコンテンツは動画かテキストか?情報を受け取る負担から考える使い分け

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

自分たちが出しているテキストのコンテンツは、動画にした方がいいのか。動画の方が作りやすいから作っているけれど、ちゃんとテキストにもした方がいいのか。悩んでいる方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。

この動画対テキストの話は、昔からよく議論になります。ただ、どちらが優れているかより、お客さんが情報を受け取るときに、どこで苦しくなっているのかを考えたいんですね。私自身、まず動画や画像で知りたいことをつかんでもらい、その上でテキストの追加情報を読んでもらう形がいいのではないかなと感じています。

「文字が好き」という声だけで決めてよいのか

まず注意したいのは、インターネットで意見を表明する人は、言いたいことがあり、自分の確固たる意見を持っている人が多いということです。この話に関しては、テキストの方がいいという声をかなり見かけると思います。

では実際はどうか。私は大きな統計データを持っているわけではありません。あくまでうちで扱ってきた中での感覚ですが、動画の方がいいという人は増えているんじゃないかなと思います。

もともと動画の方が情報を吸収しやすい人が増えたということもあるでしょう。それに加えて、文字が好きな人でも、インターネットで情報を見るときには「今の状況だったら、動画の方が便利だな。あればいいな」と感じることが増えているのではないでしょうか。

動画に対する評価が上がったというより、文字に対する苦しみが増えた、というイメージです。

文字を好む理由には、自分のスピードで読めることがあります。動画はその進み方に合わせて見ることになりますが、文字なら速く読める人はどんどん読める。自分の中で解釈しながら進められる。その、自分でコントロールできるところが大きかったと思うんです。

ただ、その良さがあっても、文字情報があまりに多くなると、処理する苦しみの方が上回ってくるのではないかなと。もちろん、文字を読むのが得意で、やっぱりテキストが欲しいという人もいます。それでもビジネスとしては、テキストで情報を吸収することに苦痛を感じている人がかなりいる、と考えた方がいいのではないかと思っています。

情報を足し続けると、知りたいことに届きにくくなる

動画の方では、早回し再生が一般的になったり、字幕を入れやすくなったりしています。例えばWhisperのようなものを使うと、文字を起こす作業が楽になります。誤字脱字をある程度許容するなら、きちんと話していれば、ほとんど修正せず字幕ファイルを作れることもあります。

そうやって、文字側のメリットを動画が取り込んでいるところもあるんですね。

その一方で、Web全体には文字情報があふれています。この回でお話ししている2024年の状況では、ChatGPTなどのAIによるコンテンツの大量生成も始まっていて、特に英語圏は「もう文字はお腹いっぱいだよ」という感じになっているのではないかと思います。

昔ながらのSEOの考え方で、なるべく詳しく、一つのページに情報を詰め込もうとする。人のことより検索エンジンのことを考えたコンテンツが量産されていくと、情報量はどんどん増えます。

狙っているキーワードで競合他社のページを見て、そこの見出しやトピックスを最低限のレベルにする。その内容をきちんと書いて、さらにプラスアルファを載せましょう、というスカイスクレーパー戦略のような考え方がありますよね。これが繰り返されれば、当然、情報量は増え続けます。

そこにモバイルで見るという条件が加わると、お客さんは「どれだけスクロールすればいいんだ」という気持ちになるわけです。

2024年3月のコアアップデートについても、まず知りたいことや結論へ簡単にたどり着ける構造のサイトが上がりやすい、という話を見かけました。ただ、これは未確認で、私が検証できた話でもありません。そこから順位の法則を言いたいわけではないんです。

私が気になるのは、情報量の多いページを最初からぶつけられたときの、読む人のつらさです。「伝えなきゃいけないことを、ちゃんと網羅したぞ」と思っていても、全然読まれていないかもしれません。実際、私がヒートマップを見ていると、その傾向はかなり強いと感じます。

最初に知りたいことを伝え、その後の情報を読んでもらう

文字で最初のつかみまでやりきるには、かなりテクニックが必要になってくると思います。最初に結論を書き、そこからきちんと読ませる文章を作れるなら、引き続きその方向でいいんです。

そうではなく、だらだら書いてしまうようであれば、文字は心を開いてもらった後に使うのもいいと思います。一番知りたいことが分かって、いったん満足したところで「ここも読んでみませんか」と出す。心を開いてもらうと、多少のことがあっても読んでくれる、というのはありますから。

これからコンテンツを作るなら、普通に撮影した動画でも、パラパラ漫画のようなアニメーションでもいいと思います。まずそれを見てもらい、大要や伝えたいことを把握してもらう。その上で、追加情報をテキストで渡していく方向です。

動画に限らず、インフォグラフィックのように、ぱっと直感的に分かるものでもいい。「知りたいことは、とりあえず分かった。じゃあ、もう少し知ってみようかな」と段階を踏んでもらうような構造ですね。

コンテンツを文章で読ませるテクニックにあまり自信がないなら、最初の選択肢は動画などになってくるのかなと思います。

私が見ている範囲でも、最初に視覚的に分かりやすく伝える形の方が、エンゲージメント率は上がると感じています。ただ、その後に読んでもらう情報まで全部動画にすべきかは、まだ難しいところです。多少頑張って読んでもらう方が、エンゲージメントが上がるのかなという感触もあって、ここは非常に悩ましいんですね。

SEOについては、この回の時点では、動画の中で話している内容を検索エンジンが十分に理解し、ページの情報として扱えているのか、私はまだ難しいと考えていました。そのため、話した内容を文字に起こし、読みやすく直して、補足情報としてページに置くことも必要かもしれない、と考えています。

正直、検索エンジン向けという面もあります。動画の後ろにテキストを付ければ、見えていないものも含めてページの内容として扱ってくれるなら、動画だけで済むのかもしれません。ただ、そう簡単にはいかないだろうなとも思うので、文字も書くことになり、ページがごちゃごちゃしてしまう。このあたりは悩むところです。

情報を削っても、残したものが全部読まれるわけではない

トップページが2カラムから1カラムへ変わってきた流れも、情報量を減らす方向への変化だったのかもしれません。以前は、ぎっしり情報を載せたホームページが多かったですよね。SEOの面もあったでしょうし、テキストで伝えきることに効果があったからだと思います。

それに比べると、シンプルに、ぱっぱっと見せていくページが増えたと感じます。デザイン性を追求したケースもあるでしょうが、メッセージを絞った方が伝わる、ということもあるのではないでしょうか。

私も、サイトの情報を思い切って削ったことがあります。意外と、削った方が遷移率が高かったりするんですね。文字がずらっとあるときに、人が見ているのは本当に一部分なんです。

ただ、難しいなと思うのは、削ったら削ったで、残りを全部見てもらえるわけではないことです。例えば、リニューアル前に100あった情報を、よく見られていた20ぐらいに絞って、レイアウトを作り直す。では、その20を全部見てもらえるかというと、今度は10ぐらいしか見てもらえない。

よく読まれる情報だけを残したつもりでも、お客さんは、その中からまた選んで見るんですね。

働きアリの話を思い浮かべるのですが、人間にはもともと情報を間引いて、選ぶ性質があるのかもしれません。全部を端から端まで読むわけではないんでしょうね。

だから、一番読んでほしい情報を置きながら、二番手ぐらいの情報も載せておく、という考え方はありかなと思います。ただ、かなり絞った方が伝わるという感触はあります。視覚的なものでまずお客さんの頭の中をすっきりさせて、その上で付加情報を加えていく形が合っているのではないか、という話につながるんです。

形式の好みより、情報を選ぶお客さんの苦しさを考える

ネットでは「動画ばかりでつらい」という声も見ます。それ自体は、その人の感じ方としてあるでしょう。ただ、テキストで情報を受け取れない人に対して、上から目線になってしまうようなコメントもあって、それはよろしくないなと思います。

これだけ情報があふれている中で、どの形なら適切に情報を受け取れるのか。お客さんはつらい状況の中で、頑張って情報を得ようとしています。それをどう助けたらいいのか、というふうに考えたいんです。

私も、この仕事をしているから、ある程度楽しんでいろいろ調べています。でも、いざ選ぶ立場になったらつらいだろうなと思います。自分がこの世界に詳しくなかったら、何を信じればいいか分からないでしょうね。

そういうときに動画を見て、そこから得られるもので判断するのは、おかしなことではないと思います。もちろん、映像で人の判断が誘導されることもあるので、受け取る側がリテラシーを上げるという課題は別にあります。

それでも、欲しいものを探しているお客さんの状況から考えれば、いろいろなコンテンツの形を使っていいのではないでしょうか。文字がいいか、動画がいいかを争うより、お客さんが知りたいことを受け取れるように、両方をどう組み合わせるかだと思います。

動画を使っていない方は、使うことも考えてみてください。自分のホームページを全然メンテナンスできていない私が言うのも何なんですが、次にちゃんとメンテナンスするときには、私もそういうところをきっちりやろうと思っています。

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動画や文章を選ぶ前に、誰に何を伝えるかを考えることについては、Podcast 第173回:内容と見せ方を分けて考えるも参考にしてください。

読む人の利用場面に合わせて形式を選ぶときは、コンテンツ作成・活用入門の形式の選び方で、記事・動画・音声などの使い分けを整理しています。

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