第535回:研修で終わらせない、日常の気づきを社員のWebスキルにつなげる

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

社員にWebやデジタルのことを学んでほしいけれど、研修の予算がなかなか取れない。研修へ行っても、一か月後にはあまり覚えていない。中小企業の方から、こういうお悩みをいただくことがあります。

このとき、研修の回数を増やすことだけで考えると、費用も負担も大きくなります。私は、日常の中で学び、それを会社として振り返れる環境を作ることを、お勧めしています。

研修で分かったことと、日常でできることは違う

外部のセミナーへ行くと、同じことを知りたい人たちが集まっていて、普段とは違う雰囲気があります。興味のある成功事例を聞いて、なるほど、こうすればうまくいくのかと、わくわくすることもありますよね。

ただ、帰り道に、自分たちの会社で本当にできるのだろうか、まず何をすればいいのだろうかと考えて、分からなくなってしまう。とりあえず報告書を出して、具体的なことは次の機会に考えようとなれば、普段の仕事へ戻っていきます。

本人の熱意やテーマへの関心にもよりますが、特別な空間で受けた刺激を、日常の中でも同じように発揮するのは難しいんですね。社内研修でも、外の講師が来る日は、いつもの仕事とは空気が違います。

一回の研修で人が大きく変わることより、研修後に何をするかへ目を向けてください。私も研修をしますが、例えば四日間の研修に、その後一か月のメールやチャットでのフォローを組み合わせています。そこで、研修内容から少し離れた質問も出てきて、最終的に役立ったということがあるんです。

普段の買い物で、選ばなかった理由を振り返る

継続して学ぶといっても、毎週講師を呼ぶ必要はありません。普段の生活の中で、お客さんの立場からWebを使う機会は、たくさんありますよね。何かを買う、サービスを探す、情報を見て決める。そのときの自分の行動を、学ぶ材料にできます。

特にお勧めしているのは、なぜそれを選ばなかったのかを振り返ることです。選んだ理由は、何となくということもあります。でも、避けた方については、ここが分からなかったから、こう書かれていて嫌だったから、と理由を考えやすいことがあります。

こういうタイミングでは、この情報が欲しかった。こういう説明があると、続きを見ようと思えた。反対に、ここで諦めた。そういうことを、細かくためていきます。

日常で買い手になっている時間を、Webの伝わり方を考える時間にもするわけです。最初は意識しなければできませんが、続けていると、この見せ方はうまいな、ここでは迷う人がいそうだな、と自然に考えるようになってきます。

そのために新しい教材を毎回買う必要はありません。ただ、考える時間や、それを言葉にする負担はあります。やる人へただ押しつけるのではなく、参加する意味やメリットが伝わるように、会社として考えることは必要です。

気づきを言葉にして、会社で使える知識にする

頭の中で、何となく分かったと思って終わると、その気づきを再利用しにくいんですね。特に最初は、レポートにまとめたり、勉強会で話したりして、言葉にするところまでやっていただきたいと思います。

例えば月に一回、自分が気づいたことを発表する。その気づきを使って、自社サイトにも同じ問題がないかを考える。日常で見つけたことが、自分たちの仕事につながると、学ぶ理由も分かりやすくなります。

私は、あるアナウンサーの方が、普段から頭の中で実況するようにしたという話を聞いたことがあります。電車の窓から見える風景を、自分ならどう伝えるかと考える。そうすると、こういう場面の語彙が足りない、ということにも気づくそうなんですね。

日常で使い、足りないところに気づき、そこを学ぶという循環を作ります。何でも先に覚えておこうとするより、自分の中に疑問がある方が、ほかの人の説明も受け取りやすくなると思います。

成功事例を聞いたときも、自社で再現するとしたらどうなるかを、一つひとつ考えてみてください。さらっと話されていたけれど、ここは実際には難しくないか、という部分が見つかります。その疑問を持ったまま考え続けることが、聞いて終わりにしないために大事です。

社内だけで決めつけず、外の目も入れて振り返る

みんなで考えられるようになるのは良いことですが、全員で同じ方向へ思い込んでしまう場合もあります。できれば、別の見方を出してくれる人を、そばに置いておくといいと思います。

自分たちはこう考えたけれど、本当にそうなのだろうか。こういうことをしようと思うけれど、どうだろうか。そうやって外部の専門家へ相談し、答えをそのまま信じるのではなく、自社の状況と合わせて考えていく形です。

例えば、改善案を考えたら、実施するとどの数字が変わるはずなのかを相談する。その数字は今の状態できちんと取れるのか、というところを確かめる。ページを作る作業は外へ頼み、社内では何を知りたいのかや、どう動くかを考えるという分担もできます。

自分たちで見つけた疑問を、ほかの人とのやり取りで確かめる場を続けてください。私のところでも、質問を重ねる中で、もっと基本から学び直したいので本を知りたい、といった話になることがあります。そうなれば、学ぶ機会を毎回外から用意してもらうだけの状態ではなくなります。

研修を受けても忘れてしまうなら、回数だけを増やす前に、その後に考え、言葉にし、フィードバックを得る機会があるかを見てみてください。普段の購買行動を振り返る習慣と、会社でそれを話す場。この二つをつなげて、無理なく学び続ける環境を作っていただければと思います。

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