第77回:天災(熊本・大分大地震)と人の心とマーケティング

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

このPodcast/書き起こしで得られること(要点)

  • 災害時の支援でもマーケティングでも、出発点は「相手が今どういう状況か」を見ることである。
  • マーケティングは本来、必要な人に必要なものを届ける営みであり、嫌われる時点で何かがずれている。
  • 失敗を招きやすいのは、頭の中の顧客像を信じ込むことと、特定の少数意見だけで全体を決めることである。
  • 商品が売れないときは、商品そのものの問題と伝え方の問題を切り分けて見直す必要がある。

災害時にむき出しになる相手起点

今回の話は、熊本・大分の地震を受けての実感から始まります。助けたい気持ちそのものは尊い一方で、現地で必要ではない物が送られてしまうと、かえって負担になることがある。千羽鶴や古着の話が象徴的ですが、善意だけでは十分ではなく、相手が今何を必要としているかまで考えなければいけません。

私は、これは災害時だけの話ではなく、マーケティングでもまったく同じだと捉えています。相手の状況、欲しているもの、心理的な状態を把握したうえで、自分たちは何を届けるべきかを考える。その積み重ねが、良い経済活動と良いマッチングを生むという見立てです。

嫌われるものはマーケティングではない

この視点に立つと、マーケティングは本来、嫌われるものではありません。必要な人に必要なものを届けるための営みであり、受け入れられて初めて成立するものだからです。だからこそ私は、「マーケティングが嫌われている」と感じる場面では、その実態はマーケティングの失敗であって、本質そのものではないと整理します。

売ること自体も悪いことではありません。満足してもらったうえで対価を受け取るのは、価値がきちんと届いた証拠です。大事なのは、自社が売りたいものを押し付けることではなく、相手が本当に必要としているものと一致させることです。

脳内の顧客像を疑う

そこで最初の落とし穴になるのが、頭の中で作った顧客像を信じすぎることです。経験が長い人ほど、「この人にはこれが売れるはずだ」という脳内のペルソナを持ちやすい。けれども、経済環境も社会環境も変わり続け、ニーズも均質ではなくなっています。昔うまくいった感覚が、そのまま今の正解とは限りません。

私が強調するのは、「目の前の現実が常に正しい」という姿勢です。想定した価格やキャッチで売れるはずだと思っても、実際に売れないなら、まず受け止めるべきなのはその現実です。ペルソナは遊びではなく、現実を観察するための道具であって、現実に優先して信じるものではありません。

一人の声と全体像の両方を見る

もう一つの落とし穴は、特定の人の声だけで全体を判断してしまうことです。細かなヒアリングは大事ですが、その人が本当に全体を代表しているとは限りません。逆に数字だけを見ても、背景にある感情や文脈は見えにくい。だから、全体の傾向と個々の声は両方必要で、片方に極端に寄せてはいけないというのが今回の整理です。

少数の声を大切にしつつ、それを全体の流れの中で確かめる。そうすることで、思い込みでも迎合でもない、現実に根ざした判断がしやすくなります。

商品性と伝え方を切り分ける

現実を直視したうえで次に見るべきなのは、売れない理由がどこにあるかです。私は大きく二つに分けています。一つは、そもそも商品やサービスが相手のニーズに合っていないケース。もう一つは、価値はあるのに伝え方や見せ方が悪くて伝わっていないケースです。

たとえばハンバーガーでも、ハンバーガー店同士で比べるのか、カフェと比べるのかで見られ方は変わります。味だけでなく、雰囲気や居心地が価値になることもある。こうした見せ方の工夫はまだ余地がある一方で、価格やカバー範囲、欲しいと思えるフックそのものがずれている場合は商品側を見直さなければなりません。

ここで重要なのは、両方を同時にいじらないことです。見せ方を変えるのか、商品を変えるのかを切り分けて検証しないと、何が効いたのかが分からなくなります。Webなら、どこまで見られたか、どこで離脱したかといった行動から判断できる場面も多く、この切り分けの助けになります。

まとめ:相手と現実に立ち返る

今回の話を貫いているのは、相手の立場に立つことと、目の前の現実から逃げないことです。災害時の支援でも、日常のマーケティングでも、善意や経験だけで動くとずれが起きます。必要なのは、相手が何を必要としているかを見極め、そのうえで商品性と伝え方を丁寧に調整していくことです。その積み重ねが、売り手にも買い手にも無理のない、健全なマッチングにつながります。

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