[23/01/20]ビジネスの成功事例は「一人称」で読むべき?その理由

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

このPodcast/書き起こしで得られること(要点)

  • 成功事例は、きれいな結論だけを拾う読み方では足りないと分かる
  • 事例を一人称で追体験することで、自社に足りない前提条件が見えてくる
  • 表に出ていない苦労や判断材料を読み取ることが、実際の現場に効く学びになる

成功事例は、よくできていればいるほど、話がきれいにつながっています。読む側としては、なるほど、こうすればうまくいくのか、と気持ちよく受け取りやすいわけです。けれど、その読み方だけで終わってしまうと、実際の現場に持ち帰れるものは意外と少なくなります。

この回で勧められているのは、事例を結果だけで読むのではなく、その時その会社の中にいたつもりで、一人称で追いかける読み方です。先を知っているから納得できるだけで、当時の現場では相当な迷いと決断があったはずだ。そう考えながら読むと、見える景色が変わってきます。

成功事例は、うまく流れるように作られている

そもそも事例は、紙面の都合もあり、読みやすく整理されています。余計な寄り道や失敗、途中の迷いは削られ、筋の通った物語として見せられます。それ自体は悪いことではありません。ホームページで事例を作る時も、やはり読みやすく整えるからです。

ただ、そのまま飲み込んでしまうと、「うまくいった会社は最初から道が見えていた」と錯覚しやすくなります。実際には、話の裏にかなりの仮説、反対意見、試行錯誤があったはずです。そこを想像せずに読むと、事例はただの良い話で終わってしまうんですよね。

一人称で読むと、事例が急に重くなる

この回で取り上げられていたのは、もともと実験用モルモットの事業をしていた会社が、キクラゲ栽培へ転換し、その後データ活用で生産性を高めていった事例です。文章として読めば、事業転換をして、販路を開き、課題にぶつかり、デジタル活用で乗り越えた、という流れで理解できます。

しかし、そこで一人称に切り替えると話はまったく違ってきます。もともと無菌環境で動物を扱っていた会社が、今度は菌を育てる事業に行く。この時点で社内には「なぜそれをやるのか」「本当にいけるのか」という疑問が大量に出て当然です。文章では一行でも、現場では大きな決断です。

さらに、屋内栽培という制約があり、販路は広がっても生産量が追いつかない。ここで「ではデータ活用でいこう」と発想するのも、後から見れば筋が通っていますが、当事者としてはかなり思い切った判断です。外で作る方向や、別の商品に行く方向だって十分ありえたはずです。

大事なのは、見えていない前提条件を拾うこと

事例を一人称で読むと、自社に足りない条件が見えてきます。たとえば、この会社ではデータ活用に踏み切る際、社内を説得できる人がいました。感覚頼みの栽培には限界がある、正確なデータに基づいた生産へ行くべきだと、自信を持って語れる人がいたから前に進めたわけです。

では、自社に同じ局面が来た時、そういう人はいるのか。社内にいなければ、外に相談できる相手はいるのか。IoTやデータ活用に関する土地勘を持った人材がまったくいない状態で、同じ選択はできるのか。こうした問いが自然に立ち上がってきます。

ここで得るべきなのは、「データ活用すると3倍になった」という表の結論ではありません。その結論にたどり着くまでに必要だった人、知識、説得力、継続の覚悟が何だったのかを拾うことです。

10年で3倍という時間感覚

この回で特に重く響くのは、生産量が3倍になったという成果を、10年という時間の中で見ているところです。3倍という数字だけを見れば派手に聞こえますが、10年続けてようやくそこに到達したと考えると、話は一気に現実味を帯びます。

1年で3倍なら勢いで押し切れるかもしれません。けれど、10年で3倍となると、途中で心が折れないこと、仲間が離れないこと、毎年少しずつでも信じて続けることが必要になります。成功事例から本当に学ぶべきなのは、こういう時間の重さかもしれません。

きれいな要約文だけでは、この忍耐や社内の空気はなかなか見えてきません。だからこそ、先を知らないつもりで順番に追い、自分ならどこで迷うか、何がなければ踏み切れないかを考える読み方が効いてきます。

今のうちに触れておくべきものが見えてくる

この話は単に事例読解のテクニックにとどまりません。今はすぐ役に立たなくても、将来重要になりそうなものに触っておくべきだ、という話にもつながっています。AIの話がここで出てくるのもそのためで、必要になる前に土地勘を作っておかないと、いざという時に選択肢として持てなくなるからです。

事例を一人称で読むと、「この会社はその時すでに何を知っていたのか」「何に早く触れていたのか」という視点も生まれます。そうすると、今の自分たちが準備しておくべきことも逆算しやすくなります。

まとめ:事例は追体験してこそ自分の材料になる

成功事例を読む時に大事なのは、結論やキーワードだけを抜き出して終わらないことです。むしろ、その会社の立場に入って、先が分からない状態で一歩ずつ考えてみる。その過程で出てくる疑問や不安こそが、自社にとって必要な学びになります。

よくできた事例ほど、うまくいった理由が最初から見えていたように錯覚しやすいものです。だからこそ、一人称で読む。そうすると、表には出ていない前提条件、支えてくれた人、長く続ける覚悟まで見えてきます。事例を本当に使える知見に変えるには、この読み方が欠かせません。

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