第610回:Gmail・Outlook・AppleのメールAI要約を比較、伝わり方の違い(2026年10月版)

中小企業を強くするWebマーケティングPodcast — ラウンドナップWebコンサルティング 中山陽平

第610回:Gmail・Outlook・AppleのメールAI要約を比較、伝わり方の違い(2026年10月版)

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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

今回はAIによるメール要約について。主に「伝えたい情報が正しく届いているか」につながる、要約についての現状という話をしたいと思います。

社内ではチャットやグループウェアを使うことが増えました。

それでも、お取引先への説明や営業、マーケティングでは、メールが今も重要な連絡手段です。まだ関係の薄い見込み客とのやり取りにも、メールならではの程よい距離感がありますよね。

そのメールを、相手が本文まで読まず、AIの要約だけで判断しているかもしれません。

検索結果に出るAIの回答には注目が集まっていますが、見込み客を育て、その後のコミュニケーションを続ける場面でも、要約のされ方を考えておきたいところです。

メールのAI要約の普及率は不明だが肌感として相当増えている

スマートフォンでメールを見たとき、最初に短い要約が表示されることがあります。AIで作られたものですね。

AIであるがゆえに、また恐らく資源の問題で高い能力のモデルを使っていないためか、伝えたいことが抜けたり、違う意味に受け取られたりする可能性があります。後述しますが誤りも少なくありません。

具体的にメール要約では、

  • GoogleのGmailで使われるGemini
  • Appleのメールで使われるApple Intelligence
  • MicrosoftのOutlookで使われるCopilot

が代表的です。そして、使うサービスによって要約の長さや拾われる情報はかなり変わります。

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」

※裏側でどのモデルが動いているかも気になるところですが、分からない部分は多いです。例えば、Copilotの個々の動作についても、私の確認した範囲ではモデルを特定できませんでした。

現時点で公開されていない、かつAIの新しいモデルの進化に伴い変わっていくため、モデル名を気にするより、相手の環境で実際にどう要約されるかを見て定性的に方針を作る方が、送る立場としては役に立つと思います。

628件の要約を調べたBuzzStreamとAira共同研究

今回参考にしたのは、BuzzStreamとAiraが共同で行ったメール要約の研究です。

BuzzStreamは記者やメディアへの連絡などを管理するサービスを提供する会社。Airaはイギリスのデジタルマーケティング会社で、両社ともデジタルPRの仕事に関わっています。

  • 13件のデジタルPRキャンペーンをもとにメールの文面を変え、Google、Apple、Microsoftの受信先へ送って、628件のAI要約を分析しています。
  • 件名や相手に合わせた導入文、太字、箇条書き、表、画像、リンクなどを変えたときの結果を調べたものです。
  • 一部の分析にはClaudeを使い、方法や結果を人が確認したことも公開されています。

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」調査方法

データを収集・分析したのは2026年3〜4月で、記事の更新日は同年7月15日です。

※これは英語のPRメールを使った共同研究であり、各メールサービスが公表した仕様ではありません。請求の連絡や日本語のメルマガで、同じ数値になると考えないでください。現在は傾向が変わっている可能性もあります。

ポイント1:短い要約でも伝わるように重要なことを先に書く

3社で大きく違う要約の長さ

まず興味深いのがAI要約の平均単語数。Googleは約29語、Appleは約50語、Microsoftは約157語と差があります。ここでいう「語」は英語の単語数で、日本語の文字数ではありません。

調査対象 要約の平均単語数 元メール前半に由来するキーワード一致の割合
Google 約29語 87.1%
Apple 約50語 82.5%
Microsoft 約157語 65.4%

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」要約の長さ・情報の位置/Aira「AI email summaries」比較表

GoogleとMicrosoftでは、平均の長さがおよそ5倍違います。

Googleの短い要約の中で、何を伝えれば「もう少し読んでみよう」と思ってもらえるのか。Outlookを使う相手なら、長めの要約でどう伝わるのか。相手が使っていそうなサービスを考えながら、実際に試す必要があると感じます。

後半まで読まれる前提にしない

元メールの前半にある情報が、要約でも多く使われていました。GoogleとAppleでは、要約と本文のキーワード一致の8〜9割が前半に由来しています。Microsoftも65.4%でした。伝えたい結論を最後まで引っ張らず、冒頭へ置くという考え方は、メールでも大事なのだと思います。

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」第3節

「これがこうで、こういう事情があるので、最終的にはこのご提案です」という書き方では、提案にたどり着く前の部分が要約されるかもしれません。相手に必要な情報を、早い段階で分かるように書く。AIに拾わせるためだけでなく、受信する人に伝えるという観点で考えたいですね。

ポイント2:箇条書き・太字・表は効果が一定見込める

まず箇条書きから試す

書式の違いも調べられています。箇条書きの情報が要約に含まれた割合は、Microsoftが92%、Googleが65%、Appleが64%でした。箇条書きに書いた内容の92%が、そのまま全部残るという意味ではありません。要約に箇条書きの情報が含まれたかどうかを見た数値です。

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」第7節

本文と箇条書きの情報量の割合など、これだけでは分からないところもあります。それでも、この結果を見て、大切な情報を箇条書きで分かりやすく示すことは試す価値があると思いました。私もメールで箇条書きを使うことがありますが、人が読むときにも読みやすいですよね。

書式だけで要約をコントロールできるわけではない

太字の情報が含まれやすかったのは、3社の中ではGoogleでした。表の情報はGoogleやMicrosoftで比較的取り込まれ、Appleでは少なめです。太字や表の扱いにもサービスごとの差があります。どれか一つの書式にすればよい、と考えるのは難しそうです。

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」第6・8節

特に表はモバイルでの見やすさとの兼ね合いもあります。私なら、まず箇条書きから始めます。書式を付ける前に、何を伝えたいのか、どの情報を分けて見せるのかを考えることが先ですね。

ポイント3:件名はようやくの面では関係が薄い可能性が高い

導入文と件名にもサービスごとの違いがある

相手に合わせた導入文が要約に反映される割合は、Microsoftで高く、GoogleやAppleでは低いという結果でした。相手向けに書いた一文がそのまま要約にも残るとは限りません。導入文を書く場合も、その相手が必要としている内容を分かりやすく伝えたいところです。

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」第5節

件名については、本文と共通する語もあるため、件名だけの影響を完全には切り分けられていません。この研究から「件名は要約に関係ない」とまでは言えないですね。また、開封率を調べた研究ではありません。相手がメールを開くかどうかを考えるうえで、件名を意識する必要があるという点は変わらないと思います。

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」第4節

ポイント4:添付ファイルを開かないと分からないのはNG

添付の存在と添付の内容が伝わることは別

Copilotは約90%で「添付ファイルや画像がある」と触れていました。ただし、研究で確認されたのは存在への言及で、内容を要約に取り込んだという結果ではありません。GoogleやAppleでも、添付の内容が要約へ反映されることは確認されませんでした。重要なことを添付ファイルや画像の中だけに書くと、要約には出てこない可能性があります。

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」第9節

「添付の画像をご覧ください」だけで終わらず、伝えたい要点は本文にも書いておく方がよさそうです。リンク先についても、相手がそこまで読んでくれる前提にしない方がいいと考えています。

ポイント5:誤解は想像以上に多い可能性

誤りは想像していたより多い

もう一つ、大きな話題が要約の誤りです。元のメールの情報を誤って表した要約の割合は、Appleが33%、Microsoftが30%、Googleが11%でした。今回の調査では、約3割に誤りがあったサービスもあります。これは全メールの誤り率ではありませんが、私は想像していたより多いと感じました。

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」第11節

例えば、電気自動車の充電について、元のメールは「可能な限り充電した状態を保つ」という文脈でした。要約では「40〜80%まで充電する」という部分が残り、状態を保つという意味が抜けています。数字が出ているからといって、その数字に伴う意味まで正しく残っているとは限りません。

別の例では、都市のランキングを紹介したメールに、要約が順位の理由を付け加えていました。「専門クリニックが限られ、一般診療のカバー率が低いことが原因」という説明ですが、元のメールにその原因は書かれていません。書いていない因果関係まで、要約の中で補われてしまうことがあるわけです。

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」誤った要約の実例

こうした違いにはモデルの性能や処理コストも関わるのかもしれませんが、原因は分かりません。送る側として気になるのは、数値の対象や主語、比較の条件が落ちると、相手が違う意味で受け取ってしまうことです。

営業や問い合わせ対応にも影響する

長めの営業メールやマーケティングのメールは、要約で済ませたくなりますよね。相手がそれだけを見て電話をかけてきたら、「何か話が食い違っているな」ということも起こり得ます。誤解が原因で、本来ならつながるはずの商談を失ってしまう可能性もあると思います。

毎回、背景事情をすべてメールに書くのは現実的ではありません。だからこそ、テストメールで要約を確認し、電話やメールを受ける担当者も、どう伝わりがちかを把握しておく。送る文面だけでなく、受け答えの際の意識も必要になってくるのではないでしょうか。

大事なこと:一部分だけ読まれても誤解されにくい書き方へ

Airaのおすすめする3つの考え方

AiraのデジタルPR責任者Chloe Osunsami氏の助言も、実務で意識したい内容でした。その数字が何を意味するかを、同じ行の中で明確にするという考え方です。一文の中に複数の比較や助言を詰め込むと、意味を取り違えやすくなります。

  • 数字と、その数字が示す対象を一緒に書く
  • 似ている指標は違いが分かるように分ける
  • その部分だけ抜き出されても、意図した意味が伝わるか確かめる

参照:BuzzStream「AI-Generated Email Summaries」Chloe Osunsami氏の助言

例えば、「情報系学部の学生数」と「情報系科目を履修している学生数」は似ていますが、対象が違います。一緒に並べるなら、違いが分かるように書く。箇条書きで分けることもできます。数字だけでなく、何を数えた数字なのかまで伝えるということですね。AIへの指示の書き方にも通じる話だと思います。

メールもWebコンテンツを作るのと同じように考えよう

私自身も文章と改行だけでメールを送ってしまいがちなので、気をつけなければと思っています。「いつもお世話になっております。最近こういう状況が変化しているので、このたびご提案したいことがあります。最後までご覧ください」と続けるより、誰に、何を伝えるメールなのかを先に書く方が分かりやすいですよね。

例えば、「問い合わせが減っている中小企業のWeb担当者の方向けに、コストを増やす前に確認したい3つの指標をご紹介します。ご興味がありましたらご返信ください」と最初に書き、そのあとに各項目を箇条書きで示す。相手が何を読めるのかを冒頭で伝え、その内容を分けて見せるという書き方です。

こういう見直しを手伝う拡張機能や社内ツールがあってもよいと思います。送りたい内容を貼ると、「ここはこうした方がいい」と返してくれるものですね。ただ、それにもAIが関わるなら、書き換えられた内容が正しいかは、人が確認する必要があります。

今後、メール配信サービスにも、要約のされ方を確認する機能が増えるかもしれません。そうした機能が安定して使えるようになるまでは、テストメールを送り、意図した情報が伝わるかを確かめるというプロセスが必要だと思います。

コミュニケーションの行き違いで、本来つながるべきものがつながらなかったり、人間関係が損なわれたりするのは、もったいないことです。Webのコンテンツと同じように、メールもAIを介して読まれる前提で考える習慣を、今のうちにつけておきたいですね。メール配信サービス各社が出すデータも見ながら、書き方を見直していければと思います。

まとめ:メールはAI要約でどう伝わるかまで確認する

  • メールは今も営業や取引先との連絡に重要です。本文と要約で、相手に伝わる内容が違う可能性があります。
  • 英語のPRメール628件の要約を調べた研究では、サービスによって要約の長さや取り込まれる情報に差がありました。日本語や現在の環境でも同じ結果になるとは限りません。
  • 大切な情報を前半に書き、箇条書きなどで分かりやすく示すことから始められます。重要なことは添付や画像だけに置かず、本文にも書きましょう。
  • 数字と対象、比較の条件を近くに書くことで、一部分だけ抜き出されても意味が分かる文章を目指します。
  • テストメールで要約を確認し、受け答えをする担当者とも共有する。送った文面だけでなく、相手にどう届くかまで意識したいところです。

引用元・参考情報

FAQ

メールのAI要約を、送る側も意識した方がよいのでしょうか。
相手が本文を読まず、AIの要約だけで判断する可能性があります。要点が抜けたり違う意味になったりすると、営業や取引先とのやり取りで誤解が生まれかねません。送った文面だけでなく、要約でどう伝わるかも確認したいところです。
Gmail・Outlook・Appleのメールでは、要約にどのような違いがありますか。
BuzzStreamとAiraが調べた英語のPRメールの要約では、長さや取り込まれる情報に違いがありました。Googleは短く、Microsoftは長めで、箇条書きや導入文の扱いも異なります。調査当時の結果なので、日本語や現在の環境では実際に試して確認する必要があります。
メールをAIに要約されても、要点を伝えるにはどう書けばよいですか。
重要なことを前半に書き、並列の情報は箇条書きなどで分けます。数字と、その数字が示す対象や条件を近くに書き、一部分だけ読まれても意味が伝わるかを確認しましょう。書式を付けるだけでなく、伝えたい内容を明確にすることが大切です。
添付ファイルや画像にだけ重要な情報を書いても伝わりますか。
今回の共同研究では、添付や画像の内容が要約に取り込まれたとは確認されていません。Copilotが添付の存在に触れた場合も、その内容が伝わったこととは別です。重要な要点はメール本文にも書いておく方がよいと考えています。
メールのAI要約による誤解を減らすには、何を確認すればよいですか。
テストメールを送り、要約で数値の対象や比較の条件、因果関係が変わっていないかを確かめます。要約だけを見て問い合わせる相手も想定し、電話やメールを受ける担当者とも、どう伝わりがちかを共有しておくとよいと思います。

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