第539回: Webマーケティングの計画が立てられないとき、何をするかと方法を分けて考える

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、「Webマーケティングの計画をうまく立てられない」というご相談についてお話しします。

自社の強みや市場での位置づけがはっきりしない、お客様のニーズが分からない、短期的なことばかりで長期の計画を作れない。いろいろなお悩みがありますが、まずは、どの部分で止まっているかを分けて考えてみてほしいんです。

「何をするか」と「どうやるか」のどちらで止まっているか

計画を考えるときには、「なぜやるのか」というWhy、「何をするか」というWhat、「どうやるか」というHowに分けてみると分かりやすいです。

なぜその事業をするかは、経営の根幹に関わります。小規模事業や個人事業の経営者が考える場合は別ですが、Webや広報、マーケティングの部門で計画するのであれば、基本的には会社の方針を受けて、WhatとHowを作っていくことになります。

私の経験では、計画を立てられないという方には、何をするかは分かるけれど方法が分からない場合と、その両方が分からない場合があります。どちらなのかによって、次にすることが変わるんですね。

Webにはどんな手段があるのか、成果をどう考えるのか、具体的に何を動かせばいいのか。こうしたHowが分からない方は多いです。ただ、その前のWhatについては、すでに経験のある方と、初めて取り組む方に分かれます。

営業や広報の経験を、Webだからと捨てない

Web以外で広報の計画を作ったことがある、あるエリアにどう営業していくか考えたことがある。そういう方なら、何を考え、どう物事を進めるかは分かっているかもしれません。

それでも「ネットはリアルとは違うから」と、手段が分からないところで止まり、計画が立てられないと思ってしまうことがあります。

Webだからといって、これまでのマーケティングや営業の経験が使えなくなるわけではありません。もちろん、Webが得意なこと、対面が得意なことは違うので調整は必要です。でも、大枠の考え方、進め方、指標の作り方が、まるで別世界になるわけではないんですね。

「特殊な世界だから、今までの経験は役に立ちません」というような言い方を、Web業界が仕事を取るためにしてきたところもあると思います。こちら側の責任でもあるのですが、そのために皆さんの経験を捨ててしまうのは、すごくもったいないです。

何をすべきかを考えられるなら、Webではどんな手段を使えるかを学ぶか、その部分を支えてくれるパートナーを得る。これまでの経験を、Webでどう実現するかに置き換えて考えてみてください。

私が見てきた中でも、営業や商売の経験がある社長さんが、Webの方法を一緒に学んだり、自分で試したりすることで、スムーズに活用できるようになるケースは多いです。

若いから、パソコンに詳しいから、計画まで任せていないか

何をするかも、どうするかも分からない場合には、本人だけの問題ではないことがあります。「パソコンに詳しそう」「若いからネットに慣れているだろう」と、Web担当に任命されるケースですね。

本来なら、社内で経験を重ね、お客様と接し、部門間の関係も分かったうえで、計画を作って人を巻き込むようになります。ところがWeb担当になったことで、これまで担っていなかった戦略や計画まで、まとめて任されてしまうんです。それは、できなくても仕方がありません。

日常的にネットを使っていることと、ネットで商売を進められることは別です。メッセージのやり取りはしていても、売買やビジネスのことは考えたことがない人もいます。若いから分かるだろう、という任せ方はやめた方がいいと思います。

何をするかも分からず、どんな手段があるかも分からない。その両方を一気に覚えながら進めるのは、どちらか一つでも大変なのに、かなり厳しい状態です。

報告しやすい仕事ばかりになる背景

相談や社内研修でも、「組織を動かせないけれど、これをしなければいけない。方法も分からないので研修へ来ました」という話を聞くことがあります。

本人は、任された以上やるしかない。何をすればいいか分からないのに、失敗はできず、報告もしなければいけない。そうなると、社内へ「やっています」と見せやすい仕事ばかりを積み上げるようになってしまうことがあります。

何かを作りました、数字が取れました、と分かりやすいものを出して、自分を守ろうとする。周りから「成果が出ていない」と言われ続ければ、大きな負担になりますからね。

でも、目線が社内へ向いた仕事だけでは、お客様からの成果にはつながりにくい。会社として計画を作り、部門間で連携しているところと比べると、差が出てしまいます。任せる側も、そういう状況を作っていないか考えてほしいんです。

何をすべきか考えられる人を、計画に入れる

では、どうすればいいか。一つは、Whatを考えられる人に入ってもらい、社内調整の後ろ盾になってもらうことです。

他部門の意見を聞く、何かを依頼する、人を動かす。入ったばかりの担当者が、別の部署へ行って「これをやってください」と簡単に言えるわけではありません。上の立場の方が一緒に動く、必要なら自分で調整する、という支えが必要です。

Howについては、みんなで勉強する、自社で試す、コンサルタントや制作会社、広告代理店にパートナーになってもらうなどの方法があります。何をすべきかまで担当者一人へ投げず、できる人と分けて進めるんです。

方法を学ぶ期間と、計画を学ぶ期間を分ける

もう一つは、WhatとHowを一度に学ぼうとせず、期間を分けることです。すぐ動かしたいという会社の気持ちは分かりますが、まず準備として、Webでどんな手段を使えるのかを学ぶ時間を作ることをお勧めします。

実践しながら覚えられればいいですが、なかなかその環境がないこともあります。その場合は座学でもいいと思います。小さなWebサイトを運営する、社内の一部のページを任せてもらうといった方法もあります。

何をすべきかを考えるには、人間関係や商売の経験も関わるので、短期間では身につきにくいです。でも、手段について「こういうものがあり、こんな特徴があり、ここに気をつける」ということを、広く学ぶのは独学でもできます。

使える手段を知っているだけでも、「次はどうしよう」と考えたとき、「このやり方が使えるかもしれない」とつながります。何をすればいいかも、どうすればいいかも分からない状態とは、見通しが違ってくるんですね。

最初は、頭の中に地図ができるぐらいでいい

最初から一つひとつを深く掘り下げる必要はありません。解析の本を何冊も読むといったことより、どんな場面でどんな手段が使えるか、頭の中に地図を描くぐらいでいいと思います。

そのうえで、会社の中で計画を作ってきた人と一緒に、何をすべきかを考えていく。自社の強みや市場での位置づけが分からないなら、自社や市場を調べる。お客様のニーズが分からないなら、それを知るために動く。Webを使えば、その部分だけ楽になるわけではありません。

本来、時間のかかることですから、学ぶ時間を取り、できる人を加え、止まらず進むためにどうするかを考える。短い道を探すより、そこへ素直に取り組んだ方がいいと思います。

Webサイトを、一つの支店を作るつもりで考える

私がコンサルティングをしていて、うまく進まないと感じるケースでは、会社の中で重要度が低く、周りも見てくれず、人や時間も割かれないのに結果だけを求められる、ということがよくあります。

担当者は何をすればいいか分からず、最後には「時間も予算も使ったのに成果が出ないから、おしまい」となる。本人にはつらいですし、会社にも知識や経験が残りにくい。本当にもったいないと思います。

反対に、最初から複数の人が関わり、「自分たちはこう思うが、どうだろう」と考えながら、Webでの方法を一緒に探していく会社は、進みやすいと感じます。

Webサイトを動かすことを、会社全体の仕事として捉えてほしいんです。昔、Webサイトはインターネット上の支店だと例えられましたが、今でもその考え方は合っていると思います。

本当に支店を一つ作るなら、皆さんで考え、会議をして、意思疎通をしますよね。Webは物理的な店舗ほど場所代がかからないからといって、計画まで担当者だけへ任せていいわけではありません。

どうも現場が動いていないと感じたら、「どうすれば担当者を支えられるだろう」と考えてみてください。これまで培った商売の経験を生かしながら、Webではどう進めればいいかを一緒に考える。その形を作れると、動き方も変わってくると思います。

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