第240回:より一層人が採れなくなる時代に向けて中小企業は何をすべきか

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

このPodcast/書き起こしで得られること(要点)

  • コロナ後の中小企業経営では、お金以上に「人」の問題が重くなるという前提を持てる。
  • 採用しにくくなるだけでなく、今いる社員の信頼や定着も経営課題になると分かる。
  • 人が増えなくても会社を回せる前提で、固定費削減と変動費化を進める重要性が見えてくる。
  • 外注や外部パートナーを、丸投げではなく必要な時に切り替えられる運用として使う発想が得られる。

次に重くなるのは人の問題

この回でまず強く語られているのは、これからの中小企業にとって一番苦しくなるのは「人」だという認識です。足元では資金繰りが前に出やすい時期ですが、会社を回し続けるという観点で見た時、あとから効いてくるのは採用、定着、現場の負荷といった人の問題だという見立てです。

大企業志向が強まる前提で考える

ただでさえ人手不足の傾向が続いていたところに、今回の出来事で福利厚生やリモート対応力、会社の余力がより強く比較されるようになりました。求職者から見れば、何かあった時にも安心して働けそうな会社へ流れるのは自然です。そうなると、中小企業は今まで以上に人を採りにくくなります。

採用だけでなく内部の不信も残る

さらに問題なのは、新しく人が来ないことだけではありません。休業対応や現場への配慮がまずかった会社は、今いる社員からの信頼も落としやすい。辞めるまではいかなくても、会社への考え方・方向性が変わればパフォーマンスは落ちます。これからは、採用難と内部の空気悪化が同時に起こり得る前提で見ておいた方が安全です。

楽観ではなく最悪前提で業務を見直す

だからこそ、この回ではかなり極端な前提で考えることが勧められています。

今の人数で五倍を回す発想

私が出しているのは、今の業務量が五倍になったらどうするか、あるいは今の人数の五分の一で会社を回すとしたらどうするか、というような極端な仮定です。少しだけ増える、少しだけ減る、という発想だと小手先の改善で終わってしまうんですよね。非現実的なくらいの数字を置くことで、今のやり方を一度壊して考え直すしかなくなる。そこから本当に必要な改善案が出てくる、という考え方です。

人を切る話ではなく、無理をさせない話

ここで言いたいのは、今いる社員を減らせということではありません。残ってくれている人たちに無理をさせないために、そもそも人が増えない前提で会社を回せるようにしておこう、という話です。採れないかもしれない、辞める人が出るかもしれない、その時に事業まで止めないための準備だと読むべき内容です。

固定費を減らし、変動費化を進める

その準備を具体的に言い換えると、固定費をどう減らし、どこを変動費に置き換えるかを考えることになります。

家賃や場所の持ち方を見直す

例として挙がっているのが家賃です。支援策があるかどうかとは別に、それがなくても耐えられる構造へ変えられるかを考えるべきだとしています。オフィスの規模を見直す、分散させる、倉庫や在庫の持ち方を変える。場所に紐づく大きな固定費を軽くすることが、次の不確実性への備えになります。

外注は定額化しすぎない

もう一つの軸がアウトソーシングです。ただし、ここで勧められているのは、固定契約を増やして外部に置き換えることではありません。月額固定や長期契約ばかりにしてしまうと、結局は社員を抱えるのに近い重さになります。中小企業は常時発生する業務ばかりではなく、ピンポイントで発生する課題も多いので、必要な時に使い、優先順位が下がれば止められる形の方が合う、と考えてはどうでしょうか。

Web業務こそ役割分担を見直す

この話はWebの現場にもかなり具体的に落とし込まれています。

育成と離職を繰り返さない発想

Web担当者を社内で育てても、育ったところで辞めてしまった、という話は珍しくありません。そのたびに採用し、教育し、また抜けるのを繰り返すのは、今後さらに重くなります。だからといって全部丸投げするのではなく、日々の情報発信のように中で持つべきものと、メンテナンスや定期的なテコ入れのように外へ出してよいものを分ける。この線引きが大事だと語られています。

必要な時だけ外の力を借りる

四半期に一度のチェックや、月に一度の改善提案のように、スポットで外部の視点を入れる使い方は現実的です。必要ない時や資金を絞るべき時に切れることも、その体制の強みになります。変動費化とは、単に安くすることではなく、経営判断に合わせて止めたり動かしたりできるようにすることだと分かります。

戻っていく空気に油断しない

この回の後半で印象的なのは、世の中の空気が少しずつ戻っていっても、人の記憶や判断基準は元には戻らないだろう、という指摘です。

安心と安全の感覚は残り続ける

街の活気は戻ってきても、働く人の頭の中には「この会社は何かあった時に守ってくれるのか」という記憶が残ります。勤務体系や体調への配慮、現場の衛生感覚などへの期待も高まり続ける。だから、見た目が以前に戻ったからといって、経営まで以前の感覚へ戻してしまうのは危ない、という話になります。

見るべきはSNSより目の前の社員

SNSの大きな声に引っ張られすぎない方がよい、という注意もここで入ります。判断材料として見るべきなのは、目の前で働いてくれている人たちが何を感じ、何に不安を持っているかです。採用難の時代だからこそ、外の評判を追う前に、中にいる人との関係を崩さないことが優先されます。

まとめ:採れない前提で強い会社を作る

この回の中心にあるのは、今後の中小企業は「人が増える前提」で経営してはいけない、ということです。採用は厳しくなり、今いる人の考え方・方向性も変わる。その中で会社を維持するには、極端な前提で業務を見直し、固定費を軽くし、必要な仕事を変動費として外と組み合わせながら回していくしかありません。人を大事にすることと、雇わずに回る構造を作ることは矛盾しません。むしろ今いる人に無理をさせないためにこそ、その準備が必要です。

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