[22/11/03] Web・IT部門が成果を出せないとき、経営者に見直してほしい社内の位置付け

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、すごく共感した記事があったので、その内容の一部について、私の経験や気を付けた方がいいことをお伝えします。

きっかけは、ITmediaで読んだ、中小企業のクラウド活用が進まない原因を、社内の上下関係から考える記事です。久々に「そうそう、こういうところが課題なんだよな」と、うなずきながら読みました。

社内にWebやIT、情報システムを扱う部門があるのに、なかなか成果が上がらない。そう感じている経営者や他部署の方に、担当部門が社内でどういう位置付けになっているかを、一度確認していただきたいんです。

Web・IT担当からの依頼を、後回しにしていませんか

部署間の暗黙の上下関係って、ぶっちゃけあるじゃないですか。それ自体、協力関係を築きづらくするので、よくないことです。WebやITを社内にうまく浸透させられていない企業さんでは、担当部門の立場が弱いケースが多い。これは私も本当にそう感じています。

人事評価というより、社内での立場の強さの話です。専任の部署がある場合でも、兼務で担当する人たちがいる場合でも、他部署からどう見られているかを確認してほしいんですね。

担当の方にはグサグサと刺さってしまうかもしれませんが、「便利屋」「パソコン関係をいろいろやってくれる人」「面倒なWebやITをやるのが仕事の人」。重要視されていないどころか、「何のためにあの人たちはいるんだろう」と思われているケースまであります。

そうすると、担当部門から依頼が来ても優先順位を低くしたり、なあなあで対応したりしてしまいます。その状態では、WebもITも情報システムも、まともに機能しません。

内心どう思っているかを聞くのは難しいかもしれません。それなら、担当部門からのお願いにどう対応しているか、普段どう付き合っているかという、実際に見えるところを確認してみてください。

「まず自分たちの価値を認めさせたい」という相談が来る

うちにお問い合わせやご契約をいただく相手は、大体三つに分かれます。一つは経営者の方から直接。「自分が考えて決めるから、うちの会社をこうしたい」というご相談です。

二つ目は、営業やマーケティング、経営企画などの部署です。WebやITを経営やマーケティングに使う意識があって、助けてほしい、診断してほしいという形で依頼をいただきます。

三つ目が、情報システム部門や、それに類する担当の方々です。こういう方々に「最初に何を実現したいですか」と伺うと、「まず自分たちの価値を、会社の中できちんと認めさせたい」というニーズが強いんです。

裏返すと、「何か形になるものを作らないと、予算も下りないし評価もされないんです」というところから相談が始まるケースが、すごく多いんですね。どうしようもなくなって、少ない予算の中から相談に来てくださる。切羽詰まった状況です。

皆さんの会社でも、WebやIT、情報システムの担当者が、それぐらい困っている可能性があります。もちろん、実際に聞いてみてそうではなかったなら、それでいいんです。でも、聞いてみて驚くような結果が出てくる会社もあると思います。

経営者が「会社にとって重要な部門だ」と伝える

もしそういう状況なら、まずそこを是正するだけでも成果は変わってきます。経営者の方から、「会社として非常に重要な部門だから、ちゃんと優先順位を上げて対応してくれ」と言うだけでも違うんです。

自分もWebやITをきちんと理解して、意義を説明できるようにならなければ、と考える必要はありません。経営者として、これからの会社を強くするために大事だと思っているというメッセージを、定期的に発することです。

できれば、その部門のトップには、仕事への理解があって、会社の中でも重要な人物を置いた方がいいです。それだけで、他部署の対応が変わってきます。

なぜそれで担当者が動きやすくなるのか。ほとんどの仕事が会社全体に影響するからです。言い換えると、会社全体にちゃんと影響させられなければ、いいものが作れないんですね。

例えばWebサイトなら、いろいろな部門にインタビューして、実際に何をやっているか、お客さんは何を聞いてくるかという情報を集めないと、反応の取れるものはできません。制作会社がどんなに頑張っても、元になる情報を集める社内の担当者に、会社からのお墨付きがなければうまくいきません。

それでお金をどぶに捨てる結果になるとしたら、WebやITの担当者というより、はっきり言って経営層の責任です。動きやすい環境を作っていただきたいと思います。

納得できなければ、うまく活用している会社の現場を見る

もし経営者ご自身が「便利屋だろう」と思っているなら、その考えは改めていただきたいです。周りのナンバー2、ナンバー3の方が支えてくれているかもしれませんが、そのままでは持たないと思います。

「本当に?」と思うのであれば、WebやITをうまく活用している、知り合いの会社の現場を見に行ってみてください。動きが全然違うはずです。そこで一度、ギャップを感じた方がいいと思います。

中小企業の経営者がどれだけ忙しく、考えることが多いかは、私もよく分かっています。私自身は社員がほとんどいないので違う部分もありますけれども、たくさんのことに追われるのは理解できます。

でも、それはここから逃げる理由にはなりません。むしろ、そういう状況から自分を逃がすためにも、WebやITを使わなければいけないんです。

この話をした2022年の時点でも、活用が進んでいる会社では、WebやITを使うかどうかという話は、もう5年、10年前に終わっていました。そこから、AIをどう経営に取り込むかを考え始めていたんですね。使うかどうかで止まっていたら、1周、2周と遅れてしまう。だから、まず現場がどうなっているかを確認していただきたいと思います。

片道2時間かけて再起動する仕事は、社内の方針で変わる

冒頭の記事には、システム開発に配属されているのに、新入社員向けのPCやスマートフォンのセットアップをしているという話がありました。店舗のWi-Fiの調子が悪いと言われて、片道2時間かけて車で行き、結局は再起動だけで直った、という例もありました。

それぐらいのことは、現場の店舗でやろうという方針を作るだけでも変わってきます。電話口で担当者が「ここを抜いて、もう一度挿すとよくなる可能性があります」と案内したとき、対応してくれるかどうかです。

経営者がきちんと言っていれば、やってくれる。でも、言っていないと、「面倒だし、よく分からないし、自分が触って問題が起きたら嫌だから、仕事だろう、来てくれよ」となってしまうんですね。

ITやWebが分からない方から見ると、システムやインフラの部門は、「お金ばかり使って、何をしているんだ」と、昔ながらのコストセンターとして見られがちです。でも、業務を効率化し、新しい営業のやり方を考えるためにも使える部門です。私はむしろ、利益を生む部門の中心に近づいていくのではないかと思っています。

分からない方を責める気はありません。ただ、分からない人もいるという前提で、上の人が動かないといけないと思うんです。

担当者が本来やりたい改善に、時間を使えるようにする

担当者からは、本当はこういうことをしたい、こういうツールを使いたいという話が出てきます。例えば、社内でいろいろなサーバーが動いている状態を、AWSやGoogleのクラウドを使って効率化したい。端末管理のツールを入れて、セキュリティを改善したり、自分たちの工数を確保したり、OSを一斉に更新できるようにしたい。そういう形で貢献したいと思っているんです。

それなのに、周りからは「他に頼める人がいないから、今度のイベントを手伝ってくれ」「出店するときに配る係をやってくれ」と、都合のいい人として使われてしまうことがあります。

担当部門がきちんと機能している会社の方には、「本当にそんな状況があるの?」と思われるかもしれません。でも、残念ながら現実にあるんです。

経営者だけでなく周りの方も、他の部署と対等な立場として接し、きちんと対応するようにしていただきたいです。そこから出てきたものを使うことで、自分たちの仕事が楽になることも多いはずです。

外の専門家を呼ぶ前に、社内で動かせる人が関わる

私も昔はいろいろな会社を転々としていましたが、うまくいっているプロジェクトには、経営者か執行役員の誰かがきちんと関わっていました。その人が旗を振り、感覚をそろえていくことをやっていたんですね。

特に内部のシステムは、簡単に入れられるものではありません。「CRMを入れましょう」「SFAを入れましょう」と言うのは簡単です。でも、実際には仕事のやり方を変えなければいけないので、それを会社の中で実行させられる権限を持った人が、どうしても必要です。

外からWebやITに強い人を連れてくればいいのでは、と思われるかもしれません。でも、社内の一般の方からすると、「誰、それ?」となってしまいます。「こういう資格を持っています」と言っても、「何、その資格。あなたは物を売れるの?」という話になりかねません。

外の力だけで何とかしようとは考えない方がいいです。本当に有名なコンサルティングファームに大きく入ってもらうぐらいしかないのでは、と思いますが、それでは相当な金額になりますし、私はお勧めしません。

会社全体にメッセージを発し続け、経営者自身も意識して行動する。「これからWebやIT、情報システムにもっと力を入れたいから、みんな協力してくれ」と言うだけでも違います。

まず社内の見方を変える。その前提があって、専門知識を補うコンサルタントや制作会社に入ってもらう。それが、最も効率のいい方向だと思います。

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担当者が動ける社内の体制を考えたら、ツールを入れる前の仕事の整理も確かめてみてください。Podcast 第547回:CRM・MAツールの導入前に、仕事の流れを整えるで、仕組み作りと操作の習得を一度に抱えない進め方をお伝えしています。

社内と外部の役割分担は、Webマーケティング入門の実行体制の決め方も参考にしてください。

参考記事

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