第524回:競合を同業者だけで考えない、お客さんが実現したいことから見直す

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

競合を調べようとすると、まず同じ業界の会社を思い浮かべると思います。寝具を売っているなら、ほかの寝具メーカー。塗装の会社なら、ほかの塗装会社。もちろん、それも必要な見方です。ただ、お客さんも同じ区切りで商品を選んでいるとは限らないんですね。

お客さんが何を実現したくて、その商品やサービスを使うのか。そこから見てみると、業界の外にあるものと比較されていることがあります。今回は、その見方についてお話しします。

商品の機能を比べる前に、何を求めているのかを考える

商品を良くしていくときには、今ある機能を高めたり、新しい機能を加えたりする方向を考えますよね。テレビであれば、色がきれい、省エネである、ゲームに向いているといったことです。そうした違いで選んでもらえるなら、それは一つの進め方です。

ただ、その商品の中での違いばかりを考えていると、お客さんがもっと広いところで選んでいることを見落としてしまいます。同じ種類の商品の中で、どちらが優れているか。それだけが選択ではないわけです。

お客さんが欲しいのは商品そのものなのか、それを使って実現することなのかを、一度考えてみてください。商品を作っている側は、その商品のことをよく知っています。だからこそ、機能や性能の比較へ入りやすいんですね。でも、お客さんの側から見ると、別の手段でも目的をかなえられるかもしれません。

今まで使ってきた業界や市場という区切りを、そのままお客さんの頭の中へ当てはめない。この視点を持つだけでも、調べる対象が変わってきます。

寝具の競合は、寝具だけとは限らない

例えば、寝具です。良い布団やベッドが欲しいという方も、その先では、ぐっすり眠りたい、朝すっきり起きたいと思っているのかもしれません。そう考えると、寝具だけが比較の対象ではなくなります。

眠ることに関わるアプリもありますし、香りやアイマスクなど、睡眠のために使おうと考えるものもあります。家の空調や、運動の仕方へ目を向ける人もいるでしょう。それぞれの商品が同じ効果を持つという話ではなく、お客さんが目的に向けた手段として考える範囲は、それぐらい広いということです。

寝具メーカー同士で、素材や機能を比べることには意味があります。ただ、ぐっすり眠りたい人が、そもそも寝具を買い替えるという選択に来るのか。ほかのところへ行ってしまうのか。そこも見ないと、お客さんがどこへ行ったのか分からなくなってしまいます。

同じ目的に使われるものは、業種が違っても、お客さんの中では比較対象になり得ます。作り手からすると全然別の商売でも、買う側にはつながっている。自分たちの商品を使う場面から、その周りにある選択肢も見ていく必要があるんですね。

自分たちはこの市場にいるから、この会社だけを見ればいい。そう決めてしまう前に、何のために選ばれるのかというところまで、視野を広げてみてほしいと思います。

住宅の仕事でも、お客さんが考える選択肢から見る

例えば塗装の仕事でも、ほかの塗装会社と比べてどうか、という見方があります。一方で、お客さんが考えているのが、この家に住み続けるのか、ほかの住まい方を考えるのかということなら、検討している範囲はもっと広いわけです。

住み続けると決めて、そのために塗装をしようとなったところでは、同業者との比較が大切になります。でも、その前のところで別の選択をしたら、塗装会社同士の比較には来ませんよね。自社の商品やサービスが、お客さんのどの判断につながっているのかを考える必要があります。

同業者との比較へ入る前に、お客さんがどんな選択をしているかを見ていきます。その人が実現したいことから考えると、自分たちの商品を説明するときにも、機能を並べるだけでは足りないと分かるはずです。

ただ、どんな会社も、必ず業界の外まで広げなければいけないという話ではありません。地域の中で仕事をしていて、同じ地域の同業者をしっかり見ていけばよい場合もあります。扱っている商品や、お客さんの選び方によって違いますので、自社にも当てはまるのかというところから考えてください。

広い価値を考えても、お客さんに伝わる言葉へ戻す

お客さんが実現したいことへ目を向けるのは大切ですが、話を広げた結果、何をしてくれる会社なのか分からなくなってはいけません。抽象的できれいな言葉だけになってしまうと、聞いた方は、自分に何の関係があるのか分からないんですね。

いわゆるマンションの広告にあるような、雰囲気のある言葉を並べればいいという話ではありません。表現としては格好よくても、結局どうなるのかが伝わらなければ、お客さんは選びようがありません。

コピーライターさんに言葉を考えてもらえば済む、ということでもないと思います。お客さんがどんなときに自社の商品を必要として、何に価値を感じるのか。その中身は、商売をしている自分たちが考えないといけないんですね。

広く捉えた価値を、お客さん自身が分かる言葉と、具体的な使いどころへつなげていくことが大切です。自分たちの業界で当たり前の区切りから少し離れて、お客さんの選択肢を見直す。そのうえで、自社の商品がその人のやりたいこととどうつながるのかを伝える。Webで何を発信するかも、そのつながりから考えていただければと思います。

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