第304回:地方の副業・兼業プロジェクト事例を読むときの注意点

ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

このPodcast/書き起こしで得られること(要点)

  • 地方の副業・兼業プロジェクト事例をそのまま成功例として受け取る危うさがわかる
  • 月3万から5万円の副業活用モデルが抱える限界を整理できる
  • 地方企業が本当に身につけるべき社外人材活用の力が見えてくる

地方の企業と都市部の副業・兼業人材を結ぶ取り組みは、今後ますます注目されるはずです。人手不足が進む中で、社外の力を柔軟に使うこと自体は必然の流れでもあります。ただし、事例記事で紹介されている成功の形を、そのまま再現できると思うと危険です。

今回取り上げるのは、鳥取県の副業・兼業プロジェクトを扱った記事を読んで感じた違和感です。活用自体を否定するのではなく、どこを読み違えると失敗するのかを整理しておきたいと思います。

一見成功して見えるが、その前提はかなり特殊

記事では、県内企業が比較的低い報酬で都市圏の人材を活用し、期待以上の成果を出しているように見えます。間に拠点組織が入り、企業側の発注を支援し、人材の選定やフォローまで行うことで、マッチングが機能しているという構図です。

ただ、ここで動いているのは単純な副業人材活用ではありません。実態としては、地域貢献や経験獲得といった金銭以外の動機がかなり大きく、しかも間に入る人が相当に細かく支えて成り立っています。つまり、制度の看板だけで回っているのではなく、かなり人に依存した仕組みです。

月3万から5万円モデルは長くは続きにくい

この手の事例で目を引くのは、やはり報酬の安さです。地方企業の予算感として、月3万から5万円あたりに壁があるのは実感として理解できます。ただ、その価格で継続的に質の高い人材を集められるかというと、かなり疑わしいです。

今はまだ、珍しさややりがい、実績づくりといった付加価値で人が集まるかもしれません。しかし、同じような取り組みが他地域に広がれば、応募者は分散します。そうなると、仕事を受ける側の立場が強くなり、より条件のよい案件へ流れていきます。黙って去るだけなので、表面上は気づきにくいですが、いずれ初心者の練習場のようになってしまう可能性があります。

本当に効いているのは「間にいる人」の力

このモデルが回っている最大の理由は、発注と伴走ができる人が間にいることです。仕事の粒度をスムーズにし、課題の出し方を直し、返事の抜けまでフォローする。企業側がふわっとした依頼を投げないように支え、人材側の不満も抑えている。この機能があるから成立しています。

もし同じ名前の仕組みだけを他地域が真似しても、こうした実際の現場支援が薄ければ、依頼する側も受ける側も不満を抱えやすくなります。思った人材が来ない、来ても頼み方がわからない、成果物に納得できない。そうした問題が一気に増えるはずです。

地方企業が先に身につけるべき力

では地方企業はどうすればよいか。結論から言えば、まず自社で社外人材を使う力を身につけることです。何を問題解決として依頼するのか、何を単純作業として切り出すのか。どの粒度で頼めば、相手が動きやすく、期待する結果に近づくのか。そこを学ばない限り、誰を使っても安定しません。

最初は失敗して当然です。失敗しながら、依頼文の書き方や、外部の人との進め方を覚えていくしかありません。クラウドソーシングで小さく試す、やり取りの中でコツを学ぶ、基本的なウェブ知識を自社でも持つ。こうした積み重ねが、結局はいちばん効きます。

副業人材は目的ではなく結果として選べばよい

「副業人材を活用する」と最初に決めてしまうと、順番を間違えやすくなります。本来は、自社に必要な伴走相手や専門家を探した結果、その人が副業で動いているならそれでよい、という話です。副業か専業か、フリーランスか会社かは本質ではありません。

大事なのは、自社の課題に合う相手を選び、継続できる条件で付き合えることです。今はリモート前提で日本中の相手と組みやすくなっています。だからこそ、制度の枠や肩書に引っ張られず、必要な役割から逆算して探した方が現実的です。

まとめ:事例をなぞるのではなく、使いこなす力を育てる

地方の副業・兼業プロジェクトは、社外人材活用の可能性を示してはいます。ただし、成功事例として見えるものの裏には、低報酬では続きにくい構造と、間にいる支援者の強い実際の現場力があります。そこを見落として形だけ真似すると、うまくいきません。

地方企業が本当に備えるべきなのは、制度待ちではなく、社外の人を発注し、活かし、伴走してもらうための基礎力です。その力があれば、副業人材でも、フリーランスでも、小さな制作会社でも、自社に合う形で外部を使えるようになります。

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