中小企業のウェブサイトを安全に運用・保守し、改善を続ける6つのポイント

「ウェブサイトを作った後は、何をすればいいのだろう」。初めて制作やリニューアルを進めるときは、公開後のことまで想像しにくいものです。公開した後も、商品やサービスが変われば掲載内容を更新します。サイトに不具合が起きたときの対応や、お客さんの反応に合わせた改善も必要です。

作って終わりにしないためには、更新の依頼から公開までどう進めるか、不具合が起きたらどう復旧するか、お客さんの反応をどう改善に生かすかを考える必要があります。自社で制作する場合も、外部へ依頼する場合も、公開後に動ける状態を用意しておきましょう。

公開前に公開後のことを考えないと危険。役割、連絡と復旧、依頼範囲を備え、公開後に更新・保守・改善を続ける流れ。公開をゴールにしていると、その後想定外の事故がおきがち
公開だけをゴールにせず、公開後の更新・保守・改善まで見据える流れ。

公開後の運用・保守は、公開前に決めておくことが重要です

公開後に誰がページを更新するかによって、必要な管理画面や操作方法が変わります。不具合への対応先を決めずに公開すると、問題が起きてから依頼先を探すことになります。改善を続けるなら、お客さんの反応や問い合わせを確認できる状態も必要です。

公開後に決め直すこともできますが、作り方や契約を変えるために追加の作業が必要になる場合があります。公開前に仕事の種類を押さえ、社内と外部の役割、連絡と復旧、依頼範囲、引き継ぎ、改善の進め方を具体的にしておきましょう。分からない部分は、社内で抱え込まず、制作を担当する人や依頼先の候補に相談できます。

公開後は、掲載内容の変更、不具合への対応、お客さんの反応に合わせた改善が続きます。次の6項目を最低限の備えとして、公開前に進め方を確かめてください。すでに公開済みのサイトでも、今の運用を見直す際に使えます。

公開後が一番大変。最低限の6つの備えは、修正方法の把握、社内担当者と窓口の明確化、外部連絡先の社内共有、作業範囲と費用の明確化、資料とデータの属人化防止、次の改善への仮説づくり
6項目の全体像。各項目の詳しい説明へは上の目次から移動できます。

Point1:掲載内容の修正方法を確かめ、更新できるようにする

商品やサービス、営業時間が変わったとき、サイトのどこを、どの方法で修正するか。公開してから操作方法や依頼先を探すと、古い情報が残ります。自社で制作するなら制作担当と、外部へ依頼するなら相手と、変更から公開までの手順を確かめてください。

公開後の仕事には「掲載内容を更新する」「問題なく使える状態を保つ」「お客さんの反応を見て改善する」の3つがあります。修正が必要になる場面と、それ以外の仕事の違いを見ておきましょう。

公開後に起こること 必要になる仕事 よく使われる呼び方
サービス内容や営業時間が変わった ページの文章や写真を修正する 更新
サイトが表示されない、問い合わせを送れない 原因を調べて復旧する。普段からシステムを手入れし、データの控えを取る 保守
ページに書いたはずのことを、お客さんから何度も聞かれる 説明が伝わっているかを確かめ、内容や案内の位置を見直す 改善

まず、サービスの説明を一か所変更する場面を想定し、変更を知らせる方法、修正に使う画面や資料、掲載前に内容を確かめる人、公開する人を一つの流れとして確認します。自社で操作するなら、実際の画面で練習できるかも確かめてください。技術的な保守と改善についても、表を手がかりに必要な相手を考え、次の担当分けへ進みます。

Point2:社内の担当者と窓口を明確にし、依頼を止めない

Point1の3つの仕事について、まず自社の中で誰が関わるかを考えます。情報の変更を知らせる人、掲載内容を判断する人、不具合に気づいたときに連絡する人です。そのうえで、実際の更新や技術的な保守を自社で行うか、外部に依頼するかを決めます。

外部に依頼する場合も、自社の商品やお客さんの変化は自社から伝える必要があります。例えば、サービス内容が変わったら、何がいつから変わるのかを担当者が伝え、修正された内容を自社で確認します。

次の表は分担の一例です。すでに依頼先があれば現在の担当とすり合わせ、これから探す場合は候補先に対応できる仕事を確かめてから分担を決めましょう。

仕事 自社で担うことの例 外部に任せる場合の例
情報の更新 変更点を伝え、掲載内容を確認する ページの修正と公開
システムの保守 不具合に気づいたら連絡し、作業による業務への影響を伝える 定期的な手入れ、不具合の調査と復旧
サイトの改善 お客さんによく聞かれることや、相談の様子を伝える データを調べ、変更案を一緒に考えて実施する

社内で情報を集める窓口も決めます。その人が技術をすべて覚える必要はありません。営業や商品担当の話を集め、変更の必要性を判断する役割です。費用や掲載内容を一人で決められない場合は、社内の決裁者も明確にしておきましょう。変更を知らせる人、掲載を判断する人、作業する人を一続きの流れとして共有すると、担当を決めただけで依頼が止まることを防げます。

Point3:外部の連絡先を社内で共有し、不具合時に動けるようにする

サイトが表示されない、問い合わせが届かないといったときに、社内の誰が気づき、誰へ連絡するかを決めます。連絡を受けた後、原因の調査や復旧を誰が担うかも必要です。Point2で保守を担当することになった人と、連絡の流れを合わせておきましょう。

外部に保守を依頼するなら、連絡先と受付時間、社内の連絡担当とその代わりを決め、共有できる場所に残します。依頼先がまだ決まっていない場合は、公開前に対応できる相手を探す必要があります。連絡先が分からないままなら、この項目は決まっていません。

サイトを動かす契約の管理者も決めます。ドメインはサイトのアドレスに使う名前、サーバーはサイトのデータを置く場所です。どちらも契約の更新や支払いが必要になります。次の項目を、既存の契約があれば調べ、これから契約する場合は担当を決めてください。

  • ドメインとサーバーは、誰の名義で契約し、更新・支払いを誰が管理するか
  • ページを更新する管理画面は、誰が利用するか
  • 不具合に備えてデータの控えを取り、必要なときに復旧するのは誰か

データの控えを取ることを「バックアップ」といいます。自社で専門的な仕組みを設計する必要はありません。ただし、どのデータを残し、いつの状態へ戻せるかは、保守担当と決めておきましょう。

不具合を見つけた人から社内窓口、調査・復旧の担当へ、どう連絡するかを一枚にまとめ、関係者が見られる場所に残します。ドメイン・サーバーの契約先と管理担当も併記します。パスワードはその一覧に書かず、会社で定めた方法で管理してください。

Point4:作業範囲・費用・対応時間を明確にし、契約へ残す

Point2で外部に任せると決めた仕事について、何を、どこまでしてもらうかを具体的にします。例えば「更新を任せる」だけでは、文章の差し替え、写真の追加、新しいページの作成のどこまで含むのか分かりません。

見積もりや月額料金の説明を受けるときは、Point1の更新・保守・改善それぞれについて、含まれる作業と含まれない作業を並べて確かめましょう。

  • 商品やサービスの説明を変えるとき、どの作業まで依頼できるか
  • サイトの不具合を調べ、復旧する作業は含まれるか
  • お客さんの反応を見て改善案を考える仕事は含まれるか
  • 作業の回数・量に上限があるか。超えた場合はいくらかかるか
  • 依頼から着手まで、どのくらい時間がかかるか

「24時間監視」と書かれていても、いつでもすぐに復旧作業が始まるとは限りません。連絡を受ける時間と、調査・復旧を始める時間は分けて確認します。

作業の範囲、対応の条件、追加費用を、見積もりや契約で分かる形にして決めます。すでに月額費用を払っている場合も、金額だけを見るのではなく、その費用で受けられる作業を現在の契約と照らし合わせてください。

Point5:資料とデータを共有し、担当交代に備える

社内の担当者が変わっても更新できるよう、手順と契約先を残す方法を決めます。自社で更新する場合も、外部に任せる場合も、今の担当者だけが知っている状態は避けたいところです。

まず自社で、次のものを共有できる場所に残し、新しい担当者が実際に取り出せるか確かめましょう。

  • 原稿・写真・制作データの保存場所と、使える範囲
  • よく更新するページの手順と、掲載内容を判断する人
  • ドメインやサーバーの契約先、連絡先、更新期限
  • 進行中の作業や、過去に起きた不具合の記録

外部に依頼する場合は、依頼先を変更するときに何を受け取れるか、引き継ぎ作業を誰が行い、費用がかかるかを相手と決めておきます。まだ依頼先を選んでいる段階なら、候補先に条件を尋ね、契約内容に反映してください。

例えば、当面は更新を外部に任せ、将来は自社で行いたいなら、その希望を制作前に伝えます。使う仕組みによって、後から自社で扱える範囲が変わるためです。担当が変わってもサイトを使い続けられる状態を、最初から作っておきましょう。

Point6:お客さんの反応から次の改善の仮説を立て、確かめる

最後は、サイトが役に立っているかを見て、次の変更につなげる方法です。会議の日だけ決めても、何を持ち寄り、そこで何を変えるか決められなければ改善は進みません。

まず、自社がサイトで実現したいことを一つ思い出してください。営業で毎回同じ説明をしているなら、その質問が減ったかを営業担当に聞けます。問い合わせを増やしたいなら、件数だけでなく、どのような相談が来たかも見ます。

まず「何が伝わっていないのかもしれない」「どこを変えれば伝わるだろう」という仮説を一つ置きます。専門的な分析を一人で終える必要はありません。お客さんの質問や問い合わせを手がかりに、自社の事情を知る人と、必要なら外部の相手と一緒に考えます。公開前に、次の流れを用意しておきましょう。

  1. お客さんの質問や問い合わせの内容を、誰が集めるか
  2. 必要な数字を、誰が見られるようにしておくか
  3. 集めた情報をもとに、説明や案内の変更を誰が決めるか
  4. 変更を誰が実施し、その後の反応を誰が確かめるか

例えば、「サービスの対象が分からない」という質問が続くなら、「対象と条件の説明が見つけにくいのでは」と仮説を立てます。説明を目立つ位置に移し、その後も同じ質問が来るかを確かめます。結果を見て、次の変更が必要か考えます。

外部と一緒に改善する場合は、数字の確認、変更案の検討、ページの修正のうち、どこまで依頼するかをPoint2とPoint4の分担・契約に反映します。公開前に決めるのは、結果の予想ではなく、公開後の情報を次の変更へつなげる方法です。

公開前に、運用の流れを一度たどる

6項目を見ながら、例えば「サービス内容が変わった」ときに、誰が知らせ、判断し、掲載し、結果を確かめるかをたどってください。不具合が起きた場合の連絡と復旧、担当交代時の引き継ぎも同様です。途中で止まるところがあれば、自社で補うか、依頼先や候補先と作業・契約の条件を詰めておきましょう。

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