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新規事業の立ち上げ、独立開業、または既存の事業体での新規事業展開に際して、ウェブを有効活用する方法についてのご相談は少なくありません。
ただ、常に悩ましいなと考えているのがWebの相談が多くの場合開店直前あるいは開店後だということです。確かにリアル店舗がある場合は店舗・オフィスそのものにしても人材にしても悩むことが多いため、どうしても目に直接見えないWebの世界についてはおざなりになりがちです。
しかし、結論から言えば目安開店半年前からは準備を始めておくことをオススメします。また、開店そのものもコンテンツ化することができますので、できるだけ早く情報発信媒体としてのWebを活用することをお勧め致します。
Webを後回しにする事による機会損失
新しい事業を立ち上げる際に、実店舗は準備ができ、社内体制の整備や部署のあれこれが終了し「さぁ営業だ、オフラインはもちろんやるが、ウェブでも何かできることがあるだろうか?」こういった流れは少なくありません。
また、オフラインの営業活動が始まってから、オンラインの活動がスタートするというパターンが多く見受けられます。しかしこれは機会損失が多いのです。もっとWebの活用は前の段階から行わなければなりません。
なぜなら
- オフラインのチラシやDMや広告は「生存期間が短い」ため、見込み客の手に届いた時「次の誘導先」がないとすぐに効果を失ってしまう
- 事業の立ち上げそのものが、ファンを作り出すコンテンツ
からです。
見込み客は、次の行き先を見せないと逃す
情報が溢れる世の中ですので、開店だからとポスティングやDMや折り込みをやっても、受け取った人の注目を得られるのは一瞬です。なので、チラシやDMは何度も何度も出すことが暗黙の前提となります。
特にすでにあなたのビジネスに対してニーズを持っている見込み客の場合、興味を持ってくれても「もっと知りたい」に対応できないと、逃してしまいます。
その際に有用なのはやはりホームページ・Webサイトです。最近であればSNSでもよいかもしれませんが、将来的に柔軟に様々な情報を載せたいということを考えると、早期に会社でWebサイトを運営できる体制を整えて置いた方が、営業効率面でもよいです。
オフライン販促物にホームページへのQRコードやリンクをつけて、そこにアクセスしたくなるオファーをつけて来てもらう。そして、少しでも多くの情報に触れてもらう。あわよくばメルマガなりLINEなり、お気に入りに入れてもらう。
何度もオフラインで告知するよりもたくさんの情報を受け取ってもらえますし、記憶にも残る可能性が大きいです。
とにかく初動が肝心なのが新規立ち上げ時
見込み度が高い人ほど、最初からきちんと見てくれます。よいお客さんを摑んでおきたいなら、最初が肝心なのです。
Googleマップも見てもらえれば、場所も伝わるので近所を通る人が店構えだけでも見てくれるかもしれません。きちんと情報を整備し、写真やサービス情報を掲載しておくべきです。
Googleマップに掲載すれば、そこから自然とホームページに訪れる人が増えます。ホームページからは営業内容や取り扱い商品などを確認する人が増え、オープン時のプロモーション時には特に増加します。その時にホームページが存在しない、または不完全であると大きな機会損失となります。したがって、オフラインと同様に、オンラインも同時に動かした方が良いです。
立ち上げそのものが「コンテンツ」
店舗ビジネスが分かりやすいですが、ビジネスが始まるまでを共有することはロイヤリティの高いお客さまを作る事に繋がります。お客さまをあなたのストーリーに巻き込むということです。
いきなり「ドンッ!」と現れたお店やオフィスより、事前に
「こういうお店を作ろうとしています、今内装工事中です、ここはこういうこだわりがあります!」
「今はスタッフ一同でDMに載せる物を考えています、みなさんに1つでも多くのメリットをご提供できるように悩みます!」
などなど、SNSで地元情報として発信してHPに誘導するなどするのです。人は物語やプロセスを共有すると、一体感を感じます。プロセスを一緒に体験した人の方が、その後ファンになってくれる可能性は高まります。あなたも、そういう店舗とそうで無い店舗があったら、どっちに行きたくなりますか?
これも、立ち上げる前から意識して準備していないとできないことです。
オンライン活動は後戻りできません。
とにかく、早め早めに行動する事をお勧めします。立ち上がってしまった物に物語を作るのは大変です。
忙しくなると、慣れないことは大事でも後回しになる!
新規事業を開始する際、とくにスタッフとして前面に立つと、予想外の課題が次々と発生し、計画通りに進めることが難しくなることがあります。
これは、目の前の問題に対処することが最優先となり、事前に計画していた活動がしばしば後回しになり、結果として実行できないことが多いからです。特に普段やらないウェブ関連の物事では、この傾向がつよくなり「どうしたらいいんだろう…あぁ、これもあれもやらないと、後回しにしよう…(3ヶ月経過)」のようなことが起きてしまいます。
2代目経営者の方々がよくおっしゃるように、現場に出る前にスキルと経験を積んでおくことが重要です。現場での業務が忙しくなると、新たに学習する余裕はほとんどないからです。新たな事業を開始するときは必ず予想以上に忙しくなります。
特に、小さな規模での独立開業を検討している方は、この点を十分に考慮しておくべきです。
私自身、副業として自分の事業を持ちつつ他の会社に勤めるという経験があったにもかかわらず、やはり法人化の際にはてんやわんやでした。
1つの仮想店舗を作ることで得られる気づきもある
また、もう1つ大事なことがあります。新規開業の際は客観的に事業を俯瞰して様々な判断を下すことが重要ですよね。その時Webサイトを作るという行動は、非常に有益なのです。
- 市場データや検索や広告関連データなど、さまざまな数字を見る必要がある:販促のコストや競合の把握などを強制的に行える
- 自社のコンセプト・コンテンツ・デザインを考える必要がある:自社そのものに対して深く内省する事ができる、足りない物育てるべき物が見えてくる
- 競合調査する必要がある:競合が何に力を入れているのか、そこからお客さんが知りたいこと大事にしていることなどを考えることができる
この時、やってはいけないのは「丸投げ」です。制作会社や代理店が、その地場とあなたのビジネスに詳しい可能性は低いです。また、彼らがそれを把握したとしてもみなさまの中に残りません。
結果を教えてもらったとしても「過程(プロセス)」を体験していないのでハラに落とせていないからです。必ず、丸投げでは無く「二人三脚」でやることをオススメします。
私たちと一緒に考えながら進めていくと、結果は大きく変わります。具体的には、プロジェクトが始まってから見えてくる事柄が多くありますが、事前に予測できることも多いのです。
半年から1年前くらいから意識を
3C分析を行ったり、市場の状況や顧客のニーズ、自社の戦略、出店地域の状況を考慮した戦略を練ることも重要です。ウェブサイトはこれらの情報を取得しやすくするツールであり、さらに言えばリリース後は解析データを基に改善のヒントが得られるポイントでもあります。
Webサイトのどこが見られているか、どこから来ているか、どんなキーワードで来ているか、そこから、どのような商品サービスを提供するべきか、どのような設備を提供するべきか、どのようなキャンペーンを行うべきかなどについても自然と見えてきます。
ウェブに手を付けるタイミングについては、オープンする前から半年から1年前から始めることが望ましいです。その過程でホームページの形成、市場調査、自社の成長戦略の設定、出展地域へのアプローチ方法などを考えることが必要です。
ウェブを活用するというよりは、ウェブ活用を戦略の一部として、勝つための策略を考えていきます。これには早めの準備が必要で、半年から1年前から始めることを強く推奨します。
独立会場や新規事業を始める際のウェブ活用についてのご質問が多いですが、ウェブ活用は事業開始前から始め、戦略の一部として取り入れることが重要です。
誰でも成功できる黄金パターンはない
「黄金パターン」は存在しません。その地域や環境に適したものを探し、それを試し続けることが重要です。その様なことを謳って営業している会社があったら避けた方が良いです。
例えば、特定のプラットフォームを使用することで必ず成功するという保証は存在しません。
飲食をやっていると、営業でTikTokやInstagramといったプラットフォームを勧めてくる会社が必ず出てきます。しかしそれは一部のビジネスにとって有用かもしれませんが、それが全てのビジネスに適しているわけではありません。
過去には飲食業界がInstagramを活用し成功を収めた例がありましたが、現在ではその市場も飽和状態になっています。
検索結果に動画が頻繁に表示される現代、動画コンテンツの制作もまた一つの戦略となりますが、それもまた競争が激しさを増しています。1つの手法で乗り切れる物ではなく、自分たちで考えながらあれこれ試していくことが必要です。
インターネット上には数多くの成功事例が存在しますが、そのすべてが再現可能なものではありません。多くの事例はプロモーションの一環としてメディアに掲載されているもので、必ずしもその成功が再現できるとは限りません。
苦手意識が一番の敵
根本的的には、苦手意識を持たずにインターネットを活用できるかが鍵です。苦手なままでは今のビジネスは成り立ちません。最初は苦手でも乗り越えていけるところが伸びていきます。
その一方で、特定の業務を依頼する人材が身近にいない場合や、即時的な対応が必要な場合は、伴走支援を行っている弊社などにお声がけ頂けると嬉しいなと思います。